公共図書館で働く視覚障害職員の会  「なごや会」 会報 第50号 (結成30周年記念号)  編集発行 なごや会会報編集委員会  メールアドレス:jimukyoku@nagoyakai.com  ホームページ:https://www.nagoyakai.com/ 目次 1 はじめに  (仁科豪士) 2 変化を感じ、継続の重要性に気づいた10年  (服部敦司) 3 こんな活動をしています 〜ここ10年の取り組みを中心に〜  3-1 文字とリアルで繋がる「なごや会」 会報・支部会・例会  (斉藤恵子)  3-2 図書館で働く視覚障害者の仲間を増やすために   (佐藤聖一)  3-3 ICTの利用による読書支援の取り組み  (杉田正幸)  3-4 資料の作成と出版活動  (服部敦司) 4 若手会員からの声  4-1 なごや会に参加して  (吉田沙矢香)  4-2 なごや会に参加して  (細川和真) 5 なごや会30年のあゆみ  (会報編集委員会) 6 おわりに  (仁科豪士)     はじめに                       会報編集長、京都府立図書館 仁科豪士  『なごや会会報50号』を手にしてくださった皆さん、こんにちは。  私たち「なごや会」は、正式名称を「公共図書館で働く視覚障害職員の会」と言い、今年(2019年)9月で結成30周年を迎えます。  現在は、公共図書館や大学図書館で働く視覚障害職員とそのOBのほか点字図書館・点字出版施設の職員、音訳ボランティア、図書館情報学の研究者などを含む50名ほどのメンバーで、相互の情報交換や交流、図書館の障害者サービスの充実を図るための資料・出版物の刊行、そして一人でも多くの視覚障害者が図書館で働く機会を得られるよう活動しています。  1974年、東京都で我が国初となる視覚障害者を対象とした点字による採用試験が実施され、その合格者が都立中央図書館に配属されました。それから15年後の1989年、全国の公共図書館で働く視覚障害者が10人に達したのを期に、関東と関西のメンバーが名古屋に集まり、本会が結成されました。  会報第1号が発行されたのは、1992年のことでした。そして、95年からは年2回のペースで発行を続けており、本号で50号を数えることとなりました。  普段、会報は会員が自由に情報交換をしたり、健常者が大多数である職場では話しにくい悩みなども投稿できるよう、会員以外には非公開で発行しています。しかし、結成20周年を迎えた2009年には、多くの方に本会の存在を知っていただくことを目的に、それまでのあゆみや活動をまとめた『会報30号』を製作し、広く公開しました。 https://www.nagoyakai.com/kaiho/index.html  それから10年が経過し、長年にわたって中心的な役割を果たしてきた会員が退職を迎えるなど徐々に世代交代が進みつつあり、結成当時の様子を知らないという会員も増えてきました。また、雇用拡大の取り組みを進める中で、私たちの活動が図書館関係者をはじめ多くの方にまだまだ知られていないことにも気付かされました。  そこで、『会報50号』では、この10年間のできごとを中心に本会の活動をとりまとめ、30号と同様広く公開することにしました。  この会報を通して一人でも多くの方に、なごや会を知っていただくとともに、図書館の障害者サービスに興味を持っていただければ幸いです。     変化を感じ、継続の重要性に気づいた10年                    なごや会代表、枚方市立中央図書館 服部敦司  なごや会は本年(2019年)結成30年を迎えます。  2009年に結成20年を迎え、会報の発行が30号を数えたことを機に、なごや会のあゆみと活動を広く知ってもらいたいとの思いから、30号を記念号として発行しました。その30号の中で当時の代表だった川上正信さん(元横浜市中央図書館)が「知恵と行動力でつむいだ20年」と題した記事を寄せられ、結成当時からのあゆみをまとめています。 また、会員の多くが執筆に関わった『見えない・見えにくい人も「読める」図書館』(有限会社 読書工房)を出版し、公共図書館の視覚障害者サービスとそれに関わる視覚障害職員の姿を紹介しました。この書籍出版はなごや会の20周年を祝う記念碑的な事業となりました。  そして、その後10年が経ち、今回結成30年を迎え、会報の発行も50号に至り、今回は私がこの10年のあゆみをまとめることになりました。結成当初のメンバーも数少なくなり、30年の歴史を実体験として経験し記憶しているものとしてこの10年に起きた出来事を振り返ってみようと思います。  まず、触れておきたいのは2011年に起こった東日本大震災です。未曾有の災害として私たちが初めて経験した大震災ですが、会員も被災しました。幸いけがをした人はいませんでしたが、自宅や職場に大きな被害を受けた人がありました。震災後8年が経ちましたが、社会的な影響は大きく、依然として政治や人々のメンタル面にも暗い影を落としていると言えます。  次に触れたいのは法制度の変化です。著作権法の改正、障害者差別解消法の施行、マラケシュ条約の批准等々、この10年は障害者の情報環境に関係する法制度が大きく変わった10年でもありました。2010年の著作権法第37条の改正で大きな改善のあった障害者の読書環境ですが、2016年の障害者差別解消法の施行と、2019年に成立した「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(読書バリアフリー法)によってさらなる変化が見込まれます。  そんななか、なごや会は2010年に会としては初めての海外での例会を韓国のソウルで行い、韓国点字図書館や国立中央図書館を訪問。ナザレン大学では障害のある学生のために準備された情報環境を見学するとともに、学生との交流会も行いました。  また、録音図書のDAISY化が進むなか、全国共通の製作基準づくりにも取り組みました。なごや会、日本図書館協会(日図協)、全国視覚障害者情報提供施設協会(全視情協)、全国音訳ボランティアネットワーク、DAISY編集者連絡会の5団体で作業を行い、2011年「録音(DAISY)資料製作に関する全国基準」をまとめました。  一方、公共図書館のサービスとして「読み書き支援」の位置づけが問題になりました。「読むことと書くことは一体」であり、公共図書館で「読み書き支援」を行うべきという主張に対して「読むこと」は対面朗読の範囲であり、図書館の役割であるが、「書く」ことが同様に役割として位置づけられるかが問題になりました。当時、福祉制度としての「同行援護制度」の実施に向けた動きもあり、「読み書き支援」は公共図書館のサービスとしてはそぐわないとして2015年に「あらゆる文字情報の読み書き支援を図書館で行うべき」という主張に対する見解を公表しました。 https://www.nagoyakai.com/kenkai/kenkai/kenkai.html  そして、この10年の中で特筆すべきこととして特に挙げておきたい3点を以下に記します。 1.国立国会図書館に対する要請行動  2013年に「国立国会図書館が、公共図書館の製作した点字・録音図書等のデータ収集と配信事業を始めると発表しました。いわゆる「視覚障害者等用データの収集および送信サービス」です。なごや会は同サービスをサピエ図書館からも利用できるよう要望し、これを実現しました。  2015年には視覚障害者雇用の実現、部屋貸ではなく主体的な対面朗読の実施など、9項目に渡る要望書を提出し、同館との懇談も行いました。翌16年には同館の「障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領(案)」に対して意見を提出するなど、継続的な働きかけを行いました。  こうした粘り強い行動を行うなか、2018年に発覚した省庁などによる、いわゆる「障害者雇用率の水増し問題」が、視覚障害者の採用問題を一気に進展させることになりました。  なごや会は同年10月に同館に改めて視覚障害職員採用に関する要望書を提出し、話し合いを行いました。その結果、翌19年、同館は、平成31年度職員採用試験で点字による受験を認めることを発表。さらに、図書館での実務経験のある障害者を対象に選考試験を実施することも発表したのです。  思えば、国立国会図書館の視覚障害者の雇用問題は、半世紀に渡り、いくつもの視覚障害者団体が取り組んできた課題です。その団体の多くがすでに現存せず、最後にバトンを引き継いだなごや会が、結成30周年の記念すべき年に解決することができた。これには大きな喜びを感じると同時に、責任を果たせたという安堵感を得ました。 2.視覚障害者の雇用運動  一方、各自治体の視覚障害者の雇用運動にもいろいろな動きがありました。滋賀県が、身体障害者を対象とした司書採用試験において点字による受験を認めなかったのを機に、なごや会が行動を起こし、2014年に再度実施された同試験で視覚障害者1名が採用されました。  そして、各地の図書館で長年に渡り勤務してきた視覚障害者の退職などに伴って、欠員が生じ、その補充がなされないままに放置される事態が見られるようになりました。なごや会はこれらの自治体の状況を見ながら、欠員補充を行わない自治体に対して、要望書を送るなどして、働きかけを続けました。その結果、2019年に横浜市に一般事務職で採用された視覚障害者1名が中央図書館に配属。名古屋市も、同年視覚障害者を対象に司書採用試験の実施を発表しました。また、同様に退職により欠員が生じていた埼玉県でも17年度と18年度に点字使用者を対象とした司書採用試験を実施しました。残念ながら、採用には至っていませんが、引き続き採用に向けた動きが期待されます。  この間の雇用運動の中で気づいたことは、図書館員を希望する視覚障害者が極めて少ないということでした。これまでも人数としては限られていましたが、それでも数名の視覚障害者が図書館員になることを希望してなごや会に入会し、その夢を叶えてきました。ところが、各地で視覚障害者対象の司書採用試験が実施に向けて動くなか、受験者探しに苦慮することが多くなりました。これは視覚障害学生で司書資格を有する人が少ないこと、民間企業への就職が好調なこと、公共図書館が視覚障害者に適した職場だということが知られていないことなどが原因として挙げられます。  そこで、2018年に東京と名古屋市などで視覚障害学生などを対象に図書館員として働くためのセミナーを開催するとともに、「公共図書館は視覚障害者が活躍できる職場です」というパンフレットを作成し各方面に配布しました。  思えば、「受験者がいない」という点は、なごや会が情報発信を怠っていたことが一因であると言えます。つまり、公共図書館が視覚障害者に適した職場であり、そこで多くの視覚障害者が司書として活躍していることを、これまで対外的に十分にアピールしてこなかった「ツケ」が今になって返ってきたとも言えます。  雇用問題は、会員の多くが現役で働いている間は、正直なところ、深刻な課題ではありませんでした。ところが、結成当時のメンバー、「20代〜30代の血気盛んな若者」(「知恵と行動力でつむいだ20年」)が退職もしくは退職を目の前にした時に露わになった厳しい現実だと言えます。今後、退職者が増えるにつれ、さらに状況が厳しくなるので、引き続きなごや会として強力に取り組んでいく課題となります。 3.電子書籍のアクセシビリティについての活動  国立国会図書館の諸課題と視覚障害者の雇用問題が結成当時からの課題であったのに対して、電子書籍のアクセシビリティの問題はここ数年明らかになってきた課題です。  近年、注目されるようになった電子書籍は画面拡大や音声化等、アクセシビリティに関して大きな可能性を有しています。ところが、出版社等提供者側の理解不足やコストの問題などでその多くが視覚障害者に使うことのできない状態にあります。  なごや会は結成当初から「本のアクセシビリティ」には大きな関心を持っていたので、この電子書籍にも早くから注目してきました。そんな中、2015年に立命館大学のIRIS、図書館流通センター等が共同研究していた電子書籍のアクセシビリティに関する実証実験になごや会が協力することになりました。実証実験に参加した会員からは音声化し、読み上げさせた際の問題点や再生ビュワの問題点等、多くの意見が出され、同システムがアクセシビリティに優れたシステムとして実用化されることを強く期待しました。ところが、こうしたなごや会の声はほとんど取り入れられることのないまま、同システムは図書館向け電子図書館システム「TRC−DL」として実用化され、なごや会は実証実験に協力したことでそのアクセシビリティを保障するかのごとく、名前を利用されることとなりました。そのような状況に不満を抱いたなごや会は2016年に図書館流通センターや大日本印刷等と「TRC−DL」のアクセシビリティについて懇談の場を持ちましたが、残念ながらほとんど改善されることなく、現在に至っています。  その後、「なごや会の『TRC−DL』に対する見解」をホームページ上で公開し、なごや会の考えや立場を明らかにしています。そして、それを機に視覚障害者にとっての電子書籍のアクセシビリティの条件をまとめ、「視覚障害者のための電子書籍のアクセシビリティ基準」として公表しました。  私たちは長年に渡り、公共図書館の障害者サービスは公の行政機関としての社会的役割としてその実施を訴えてきました。一方、視覚障害者の情報保障が多くのボランティアによって支えられ、点字図書館の活動が成り立ってきたという事実もあります。これは、言い換えれば、障害者サービスに係る事業が商業ベースでは成り立たず、善意や行政機関としての義務を根拠にしなければ実現しないということを意味していました。ところが、「TRC−DL」の件はそのような前提に一石を投じることになりました。つまり、民間企業が提供する商品が、障害者への情報アクセスやバリアフリーをうたうことで一定の売り上げを見込める。つまり、商売になる可能性が出てきたということです。  障害者差別解消法等、法の整備によって、多くの公共図書館が障害者サービスの実施を検討し始めています。その際、障害者用資料を地道に製作するのではなく、購入することを検討するのは自然な発想です。そのような「ニーズ」を見越して業者が障害者用資料の出版に乗り出したり、自社の商品にバリアフリーの要素を付加価値として追加することで売り込みを図るケースが今後増えると思われます。このような動きに対する評価は難しいところです。つまり、こうした動きは新しい発想や風を吹き込んでくれる可能性がありますが、同時に質のよくない商品やサービスが流通する可能性もあります。多くの業者がこの分野に参入し、淘汰されて、質の高いよいものが残り、流通するというところまでにはまだまだ時間がかかると思われます。ただ、時代の変化とともに生じてきたこうした事実を冷静に受け止め、私たちも今後の障害者への情報環境の在り方を考える必要があると言えるでしょう。  以上のように、この10年は法律の整備や新たな情報ツールの登場、雇用問題の進展等々、会内外の変化を実感する10年でした。日々の業務や暮らしに埋没していると、なかなか実感することができませんが、30年という時間のスケールで見ると、確実に世の中は変わり、技術も進歩し、視覚障害者を取り巻く環境も変化していることがわかります。なごや会という、本当に小さな団体ですが、30年続ければ、それなりの実績や成果を生み出すことができると、改めて感じた10年でもありました。微力ながら、これからも視覚障害者の読書環境の向上と雇用問題の改善に取り組んでまいりますので、引き続きご支援とご協力のほどよろしくお願いいたします。     こんな活動をしています 〜ここ10年の取り組みを中心に〜         文字とリアルで繋がる「なごや会」 会報・支部会・例会                    例会実行委員長、横浜市中央図書館 斉藤恵子  なごや会は会員数から見れば小さな団体かもしれませんが、その会員は北は福島県から南は福岡県と各地に散らばっていますし、何しろ皆さん公私ともにお忙しいためなかなか全員が顔を合わせることは叶いません。そこで、なごや会の目指す目的でもある親睦と情報交換を行う方法をいくつか用意しています。ここではそれらについて、20周年以降の主なトピックを紹介しつつ振り返ってみたいと思います。そのころに参加していた方には懐かしく思い出していただき、新しい会員の方、これから会員になってくださる方にはなごや会をより知っていただく一助になれば幸いです。 ■年に2回の会報発行  SNSなどで日々様々な情報が飛び交う現代にあってはタイムリーとは言えない発行間隔ではありますが、まとまった情報として読み返しても意義のあるようなものを目指して毎号の内容を決定しています。著作権法改正や差別解消法施行、マラケシュ条約の批准といった大きな出来事についてはできる限り近いタイミングで取り上げました。その一方、長年課題となり続けている聞きやすい録音図書についてや、その製作の担い手である音訳者の減少の問題、読み書きサービスの問題など、すぐに解決策が見いだせないものの大切な課題について考える企画もしました。また、東日本大震災という未曽有の災害に遭遇したことに関連しての特集や私の図書館就職記と言った特集は資料として貴重なものだったのではないでしょうか。  さらに、頻繁に顔を合わせることの難しい会員の横顔を紹介する意味から、「私の子ども時代」「私の一押し商品」「私のアフターファイブ」「私の本箱」などの連載コーナーも設けています。そのようなわけで会報は毎号ボリューム満点、読み応えがあり過ぎて一気には読めないという声もちらほら聞こえるとか聞こえないとか…。 ■東西支部会  ここからは、実際に顔を合わせてのもの。  なごや会の会員は、東北から九州まで全国に散らばっているため、関東以東を東部支部、東海・北陸以西を西部支部として活動をしています。  泊りがけの遠方での例会には参加しにくい会員でも支部会ならば少しは参加しやすいのではということで、東西の支部長さんが様々な企画をしてくれています。この原稿を書くに当たり会報のバックナンバーで内容を改めて見てみましたところ、今では毎日の業務になくてはならないほど馴染んでいるサピエが誕生したばかりの年にはその学習会が開かれていたり、DAISYの製作基準について東西で学習会をしていたり、最近ではプレクストークの新機種に触れる会や学生に向けての図書館の仕事の紹介などもありました。支部会では人数も少なく気安く話ができるとあってか、メインの場でも食事会(飲み会)の場でもザックバランな会話が飛び交い近況などが聞けるのも特徴でしょうか。 ■年に一度の例会  そしてこれがなごや会の一番のメインイベント?である例会についても触れておきましょう。私は現在その実行委員長という役員を仰せつかっているのですが、他の会ではあまり聞いたことのない役職ではないかと私は思っています。それくらい重要な位置を占めている例会だけに数々のエピソードも積み重ねられています。  20周年以降を振り返っての一番の大イベントだったのは、なんと言っても2010年の韓国例会ではないでしょうか。後にも先にもなごや会が海外に行ったのはこの一度なのですから。私は残念ながらその大イベントには参加していませんが、今でもそのときの逸話を皆さんから聞くことが度々あるほどです。  20周年以降のもう一つの大きなこととして、鳥取・福島両県立図書館での研修講師を務めさせていただいたことがあげられます。これまで会員が蓄積してきた様々なスキルを用いて広く図書館利用に障害のある人へのサービスの発展に役立てていただく、あるいはなごや会という集団を知っていただく良い機会となったのではないかと思います。とくに鳥取では昼間の真面目な会とは別に、宿の名物おじさん?との楽しすぎるありがた過ぎる夜についても忘れることはできません。  さらには名古屋、東京、高知での公開イベントも歴史に残るものでしょう。名古屋では会員でもある専修大学教授の野口氏に明治期から昭和初期までの視覚障害者の読書環境について貴重なお話を聞かせていただき、一般参加者はもとより私たち会員も大変勉強になりました。また、近いところでは一昨年(2017年)の文芸家協会にご協力いただいての出版UD研究会との共催イベントや昨年(2018年)の素晴らしい高知例会などなど。  こうしたいわば外向きの内容も行う一方で、滋賀例会では、昼の時間はじっくりと会員各自が抱えている課題や職場の状況、実践例などについて情報交換や意見交換を行い、夜の時間には近江牛に舌鼓を打つという幸せを味わう例会もありました。  会報も支部会も例会も、まとめる役員はいますが会員の皆さんの協力あってこそ有意義になるものです。これからもなごや会の伝統を絶やすことなく、さらに新しい方々も巻き込んで発展して行けたらと考えていますのでどうぞ宜しくお願いいたします。     こんな活動をしています 〜ここ10年の取り組みを中心に〜         図書館で働く視覚障害者の仲間を増やすために                    なごや会顧問、埼玉県立久喜図書館 佐藤聖一  図書館で働く視覚障害者を増やすことにより、利用者の要求に即した図書館サービスの充実を図ることは、なごや会結成時からの重要なテーマであったと思います。  なごや会は、30年ほど前に、図書館で働く視覚障害職員が10人になったのを一つの契機として結成されました。もちろん、最初は雇用運動がどうしたということではなく、同じ仕事をする同じ苦労をしているであろう人たちが集まって、情報交換や親睦が目的であったように思います。  といっても、それからも徐々に会員が増えて(つまり、図書館で働く視覚障害者が増えていき)、視覚障害者が働く場として図書館が重要な位置を占めるようになっていきました。特に国立国会図書館への雇用運動はずいぶん早い時期から行われてきました。 1.結成20周年(2009年)までの雇用運動の取り組み  最初に杉田さんのメール文も引用しつつ国会図書館に対する雇用の働きかけを概略します。  (以下、杉田さんメールから引用)国立国会図書館への視覚障害者の採用については視覚障害者読書権保障協議会(視読協)が1970年の結成当初から取り組んできたテーマでした。そして、視読協などを中心とした7団体で「国立国会図書館の障害者サービスを考える連絡会」が1992年10月に結成され、サービス向上には障害者の参加が欠かせないと、国立国会図書館に視覚障害者の雇用を求めて運動をしてきました。(引用ここまで)  この時代はまだ関西館はなく東京本館に視覚障害者へのサービスを行う部屋があり、学術文献録音図書(カセットテープ版)を作成して提供していました。私も何回か交渉に参加したのですが、「応対は丁寧だが、とにかく雇用する意識も意欲もない。どうやってあきらめて帰ってもらうか」というだけの話し合いだったように記憶しています。  特に記憶にあるのは国会の委員会で国会図書館と都立中央図書館が製作した同じタイトルの録音図書を聴いてもらい、議員からは「国会の録音図書はひどすぎる」という感想をもらったことです。その当時の国会の音訳者(朗読者)は、朗読のスペシャリストではなくて、それぞれの分野の専門家が読んでいたのです。そのため、朗読の知識もスキルもなく、結果として聞きやすいものにはなっていませんでした。それらの例を示しながら、だからユーザーの求める録音図書を製作する必要があり、そのためにもそれが分かる専門家(視覚障害者)を国会図書館に雇用すべきというものでした。私たちは自分の図書館で優れた録音図書を製作できるように努力していたので、障害者職員がそこにいる価値を十分に理解していました。  その後、大きな契機が訪れます。  (以下、杉田さんのメールから引用)国立国会図書館の点字試験実施の請願が、1994年に衆参両院で採択されましたが、その後も残念ながら受験希望があるにも関わらず点字試験は行われてきませんでした。(引用終わり)  この時の国会図書館の主張は、「視覚障害者にやってもらう仕事がない。人事移動に対応できない」等というもので、やはり障害者雇用を行わなければならないというものではなく、どうやって断ろうかというものでした。そもそも請願まで採択されたのに、平気で従来からの「障害者ができないことを並べて何とかやらないように理由付ける」という驚くべきものでした。  その後、なごや会は1996年12月に「視覚障害者の雇用促進を求める要請書」を全都道府県の知事・教育長、政令指定都市の市長・教育長および東京23区の区長・教育長に発送しました。この要請書によりすぐに効果が出たわけではありませんが、なごや会として全国の図書館に対して正式に視覚障害者の雇用を求めることとなりました。ちなみに、この要請文を作成するにあたり、(私の記憶では)正式な会の名称を決めて、角印を作成しました。その後も大阪府や京都府に対して、状況に合わせた要請文の提出をしてきています。国会図書館には毎年といってよいほど障害者雇用の要請文を出し続けてきました。  また、なごや会の雇用運動では、「手をつなごう全国視覚障がい者連絡会」による統一行動があります。年に1回か2回、希望する省庁や国立国会図書館などに出向いて直接交渉と話し合いをするものです。雇用運動だけではなく障害者に関するさまざまなことが要望として出されました。なごや会は毎年参加していましたが、2009年の結成20周年記念総会において正式に脱会をきめます。これは、毎回人を出さなくてはならないという負担の割に、あまり成果が上がらないと判断したためでした。 2.結成20周年以降の取り組み  国会図書館のサービスが大きく変わりはじめたのは関西館ができて、視覚障害者図書館協力係が設置されたころからです。国会図書館が積極的に私たちのような全国の図書館員を集めて情報交換会などの活動を開始しました。特に全国総合目録の充実や、障害者サービス用資料データの収集と配信を行う「点字図書・録音図書全国総合目録」とそれを組み入れた国立国会図書館サーチ(障害者用資料検索)ができてからは画期的に向上していきます。このシステムを立ち上げるにあたり、さまざまな問題がありそれを解消していくわけですが、「いけいけ3人組」といわれる当時の課長・課長補佐・係長さんたちの活躍によるところが大です。といっても、まだすぐに視覚障害者雇用とまではいきませんでした。 ◆滋賀県の司書採用を巡る取り組み  雇用運動の大きな動きとしては、次に滋賀県の事例があります。2013年度の年度途中に滋賀県で退職者の補充として、身体障害者を対象とした司書の採用試験が実施されることになりました。しかし、身体障害者を対象としていたにも関わらず、点字受験が認められていないため、実質的に視覚障害者を排除する内容でした。これに対してなごや会では、採用試験実施前の2014年1月に滋賀県知事、同教育長、滋賀県立図書館長に対し「平成25年度身体障害者を対象とした滋賀県公立図書館職員(司書)採用選考試験の実施に関する要望書」を提出しました。点字とパソコンによる試験の実施を求め、県立図書館の副館長と話し合いをしましたが、試験日までに時間がないことと視覚障害者が働くための環境整備が不十分であることなどを理由に前向きな回答は得られませんでした。しかし、この試験による合格者はおらず、採用そのものが翌年度送りになってしまいます。  そして、視覚障害者を除外した障害者の採用試験の問題が、マスコミでも取り上げられ、なごや会以外の団体による運動や県議会でのこの件に対する質問なども行われました。その結果、2014年7月に「平成26年度身体障害者を対象とした滋賀県公立図書館職員(司書)採用選考試験」における点字とパソコン試験の実施が認められました。この試験でみごとに吉田さんが合格され、現在にいたっています。  このころになると、国立国会図書館となごや会の間では信頼関係も生まれ、さまざまな機会に話し合いや意見交換なども行われています。視覚障害者雇用についても要望書は毎年のように出していました。 ◆世代交代への対応  長年にわたり横浜市中央図書館に勤務されていた川上さんが定年退職し、2016年末には再任用も終える状態でした。また、埼玉県立図書館の駒込さんも退職し、名古屋市鶴舞中央図書館の大塚さんも再任用になるところでした。今まで図書館の障害者サービスをリードしてきた視覚障害職員が退職・再任用となり、その人たちの補充を考えないといけない時期になっていました。  2016年7月に、横浜市中央図書館長宛てに視覚に障害のある職員の採用についての要望書を提出しました。これに対しては、8月に回答があり、横浜市中央図書館から人事担当部署に、視覚に障害のある職員が図書館に配属されるよう要望しているとのことでした。しかし、実際には翌年の採用試験で視覚障害者が合格し配属されることはありませんでした。  埼玉県立図書館では、2016年度から準備を進め、2017年度の身体障害者採用選考試験に視覚障害者の司書の枠を設けてもらい、試験を実施しました。しかし、受験してくれる人がいませんでした。これは、司書資格を持つ視覚障害者がほとんどいないことと、埼玉県の障害者採用試験では「埼玉県在住」という在住規定があり、それを取り除くことができなかったためです。  横浜・埼玉・名古屋の図書館についてはサービスの維持発展という意味でも、またすでに視覚障害者が働くための準備も職場の理解もできているところなので、是が非でも視覚障害者職員の雇用を確保しなくてはなりません。そのため、なごや会では雇用運動強化のためのチームを作り、積極的に活動を行いました。  2017年10月以降、盲人職能開発センター、視覚特別支援学校、リハビリテーションセンター、視覚障害者が在学する大学などに対して、説明や受験生の掘り起しのための活動を積極的に展開しました。  2018年2月には、視覚障害者雇用促進PR用パンフレット「公共図書館は視覚障害者が活躍できる職場です」を発行しました。これは主に視覚障害学生や大学等の学校関係者を対象に作成したもので、図書館がいかに視覚障害者の職場として優れているかを示したものです。写真もふんだんに入れて、読書工房に有料で製作してもらいました。このパンフレットを以下のセミナーで活用すると共に、視覚障害者のいそうな大学や視覚特別支援学校などに直接郵送しました。  そして、2月に東京(日本図書館協会)と名古屋市(鶴舞中央図書館)において、セミナー「公共図書館は視覚障害者が活躍できる職場です」を開催しました。視覚障害の学生や大学関係者等多くの参加をいただきました。同時に、これまで図書館が視覚障害者にとって非常に適した職場であることを、社会に対して訴えてこなかった点も大きな問題であったことを実感しました。  さらに、同月関西SL(関西地区の大学で学ぶ視覚障害学生などで構成されるグループ)のメンバーと視覚障害者雇用について懇談(枚方市民会館会議室)を行うこともできました。  その後埼玉県では2018年度に「点字のできる司書」の採用試験を実施しましたが、この年も残念ながら最終合格者を出すことができませんでした。この2018年度というのは障害者雇用において特別な年となります。それについては後述します。埼玉県では、2019年度現在でも同じ形式の採用選考を実施する予定で準備を進めています。この形式だと、在住規定をなしにできます。 ◆障害者雇用の水増し問題発覚後の動き  さて、2018年度の半ばに国の省庁による障害者雇用の水増し問題が発覚します。これは、何らかの障害があると思われる職員を、障害者手帳の有無などを確認せずに、役所の都合で障害者と判断してカウントしていたものです。もっとひどい例では、すでに退職している職員をカウントしているケースもありました。この問題が明らかになると、マスコミでも大きく取り上げられ、障害者雇用促進法を作った国会でも大きな問題として取り上げられました。さらには、国会図書館職員の水増しも明らかになりました。これを受けて、各省庁は2018年度中の障害者職員の採用や、なるべく早い時期での数値達成を求められ、実際の採用計画がつくられました。  つまり、障害者の雇用バブルのような状態になります。各省庁はとにかく障害者を雇用しなくてはならないという責任を負うことになりました。国立国会図書館でも、2018年度から人員を強化して障害者職員雇用の準備を進め、2019年度早々に採用試験を実施しました。一般枠の採用試験で、あっさり点字受験を認め、障害者別枠試験を実施し、さらには経験者枠の試験も行っています。国会図書館では、現在の定数内で障害者を雇用するのではなく、障害者分の定数を増やして雇用しようとしている点が特徴です。  このようなバブル状態は国の省庁だけではありません。以前から都道府県の教育委員会でも雇用率が達成されておらず国から指導を受けていました。特に教員数が多い件では、まったく足りない状態で、障害者手帳を持っていて教員免許がある人であれば、面接試験のみで採用される事例さえ出ています。  このような状態は、実は図書館への視覚障害者雇用という意味では、まったくの逆風になっています。特に司書資格を必要とする自治体では、候補者を探すのがますます大変になっています。大学を出た優秀な視覚障害者は、希望すれば省庁や教員に採用される可能性が非常に高いのです。司書資格をとるための勉強をする必要もありません。  そんな中、2019年度早々に実施された国立国会図書館の経験者枠(係長級)試験に大阪府立図書館勤務の杉田さんが合格されました。長年に渡り要求してきた国会図書館への視覚障害者採用が実現したことは大変によろこばしいことです。願わくは、一般試験の点字受験でも合格者が出るとよかったのですが、残念ながら受験者はいたものの合格まではいたりませんでした。  さらに、2018年度の横浜市の障害者職員採用選考で視覚障害者が合格し、2019年4月に中央図書館に配属されました。これも大変よかったと思います。  2019年度には、名古屋市の身体障害者採用選考に視覚障害の司書枠が設けられ試験が実施されています。前述のように埼玉県でも採用試験を準備しています。さらには、杉田さんが退職する大阪府に対しては、なごや会から視覚障害職員雇用の要望書を出しており、府も前向きに対応してくれています。  現状では退職者の補充をするための活動でも手一杯なのですが、このチャンスをうまくとらえて、図書館が視覚障害者が働く場としてとても適したところであることをPRし、多くの視覚障害者で有能な人材が図書館で働けるようにしていかなくてはなりません。     こんな活動をしています 〜ここ10年の取り組みを中心に〜         ICTの利用による読書支援の取り組み                     西部支部長、大阪府立中央図書館 杉田正幸  私への課題は2009年(結成20周年以降)の「ICTの利用による読書支援の取り組み」をとのことである。なごや会としては国立国会図書館の視覚障害者等用データ送信サービスへの取り組みとなごや会の「TRC−DL」に対する見解を発表したことがこの10年で大きなことであった。この10年を会報のバックナンバーを見ながら振り返った。 ■国立国会図書館「視覚障害者等用データ送信サービス」開始に際しての取り組み  2011年2月には国立国会図書館が視覚障害者等向け全文テキスト化実証実験を行い、なごや会からも協力した。コンテンツは数点で、OCRソフトで読みこんだものを校正する方法と、原本出版社から直接データをもらったものとがあり、「PC-Talker」などのスクリーンリーダーとDAISY再生ソフト「AMIS」での実証実験が行われた。戦前の旧字のデータなどを対象にしていたこと、OCRの精度だけでなく、スクリーンリーダーの読み下しの問題なども指摘された一方で、80パーセントぐらいでも内容が分かることが大きいと言う意見もあった。  2013年1月15日には公共図書館で製作したDAISY(デイジー)資料の配信のためのモニターテストと意見聴取会が、国立国会図書館関西館で行われ、本会の会員2名がJLA障害者サービス委員会の立場で協力した。  2013年4月24日付で、なごや会は国立国会図書館に対して「障害者用デジタルデータ配信サービスに関する要望」を提出した。国立国会図書館のこうした試みは評価できるものの、同館のウェブのアクセシビリティ等の問題を考えると、視覚障害のある利用者にとってとても使いにくいサービスとなりかねない。視覚障害者の間でサピエが普及している現在、点字図書館のコンテンツはサピエで、公共図書館のコンテンツは国会でと分断されることになると、使い勝手の悪い公共図書館のコンテンツは十分に活用されない結果になってしまう可能性が出てくる。そこで、なごや会では国会図書館に対し、同館が自館のウェブサイトで提供する障害者用デジタルデータをサピエ図書館でも利用できるよう、要望書を提出した。  2013年7月1日には国立国会図書館関西館で開かれた懇談会でなごや会からの要望に関する説明を行った他、今後の問題点について討議した。  2014年1月27日から国立国会図書館は視覚障害者等用データの収集及び送信サービスを開始し、同6月3日からはサピエ経由でも同データが利用可能となった。現在では視覚障害者等用データの収集および送信サービスの送信承認館が111館、データ提供館が74館となり、提供データ数はDAISY及びプレーンテキスト(音声DAISY・マルチメディアDAISY・テキストDAISY・EPUB・プレーンテキストの合計)が20561件、点字データが1574件となった。(2019年6月現在) ■「TRC−DL」のアクセシビリティ問題をめぐる取り組み  2015年2月から3月に、なごや会では三田市立電子図書館アクセシビリティ実証実験に協力した。本実証実験は、株式会社図書館流通センター(TRC)、大日本印刷株式会社(DNP)、日本ユニシス株式会社(NUL)、IRISの産学共同プロジェクトとして実施されたものである。  実証実験ではPC版とタブレット版の実験サイトについて、ログインから本の検索、選択した本の音声読み上げまでのプロセスを三田市に住む視覚障害者となごや会の会員が評価した。参加者からは音声読み上げやデータの読み込み、ビューワの使用感等、全体に評価は低く、多くの課題が明らかになった。なごや会としては、こうした課題が実際のサービス開始時には改善されていることを期待していた。  ところが、2016年4月に三田市に導入された「TRC−DL」のアクセシビリティは、僅かな修正がなされたものの、重要な要素を含めて実証実験段階からほとんど改善されていなかった。これに対し、2016年8月に本会は大日本印刷、図書館流通センター等に話し合いを求めた。本会からは「TRC−DL」について、アクセシブルな電子書籍としては課題が多く、改善を求めるとともに、大日本印刷のウェブサイトで本会が実証実験に協力したとの記述の削除を求めた。しかし、それ以降も改善がなされず、同ウェブサイトの記述も削除されずそのままだった。そのようなことから2018年8月には「なごや会の「TRC−DL」に対する見解」をホームページに掲載した。 https://www.nagoyakai.com/kenkai/20180725trc-dl.html  一方、視覚障害者が電子書籍を利用するに際して不可欠な条件を「視覚障害者のための電子書籍のアクセシビリティ基準」として2019年3月にまとめ、ホームページに掲載した。 https://www.nagoyakai.com/kenkai/20190301accessibility.html  電子書籍のアクセシビリティ問題はなごや会として今後も取り組むべき大きな課題である。  この10年間のICTを用いたサービスの大きな変化としては、2010年のサピエ図書館の開始でDAISYデータのストリーミングとダウンロードのサービスが開始されたことで図書館サービスが変わったことが挙げられるかと思う。機器類にしてもプレクストークPTR3が発売されたり、ブレイズETやブレイズEZ、ブレイルセンスポラリスなどのデイジーオンライン端末が発売され、サピエオンライン機能の使える端末が増えたこと、選択肢が多くなったことも大きなことである。マルチメディアDAISY再生ソフトも有料・無料を含めて複数が使える環境となり、Voice of DAISYのようにサピエオンライン対応のアプリも発売された。  さらに今後の10年でよいサービスや機器がでてくることに期待し、使えない人との情報の格差を作らないように図書館全体として取り組むことも課題である。     こんな活動をしています 〜ここ10年の取り組みを中心に〜         資料の作成と出版活動                           枚方市立中央図書館 服部敦司  なごや会では図書館の視覚障害者サービスに関わる資料の作成と出版活動を行ってきました。ここでは、それらの活動をご紹介します。 ■『今後の公共図書館に望むこと − 視覚障害者サービスを中心に(なごや会結成10周年記念パネルディスカッション記録集)』(2001年3月発行)  1999年、なごや会は結成10周年を迎えました。この年の例会は結成の地である名古屋市で開催。記念イベントとして「公開シンポジウム・パネルディスカッション『いま公共図書館に望むこと、視覚障害者サービスを中心に』」を行いました。上記資料はこのイベントの記録集です。 ■「障害者の情報アクセス権と著作権問題の解決を求める声明」(2002年10月)  2002年、日本図書館協会(日図協)と全国視覚障害者情報提供施設協会(全視情協)との連名で「障害者の情報アクセス権と著作権問題の解決を求める声明」と題するアピールを作成。  同年10月に札幌、大阪等で開催された「アジア太平洋障害者の10年」最終年を記念した一連の国際会議に本会メンバーが出席し、この声明をもとにプレゼンテーションを行いました。 ■『視覚障害者とともに働くQ&A集』(2003年11月発行)  「視覚障害者を公共図書館の職員に」という雇用運動を行っているなごや会ですが、採用に踏み切るまでの自治体の不安を解消し、職場での円滑な人間関係を作ることを目的に作成したのがこの資料です。会員一人一人の経験と情報を集約した、貴重な資料といえます。 ■『本のアクセシビリティを考える 〜著作権・出版権・読書権の調和をめざして〜』(2004年4月発行)  発行:読書工房  2004年2月に「出版物のアクセシビリティを考えるセミナー」(東京、なごや会主催、図書館問題研究会共催)を開催。著者、出版社、利用者の三者が一堂に会し、視覚障害者にとってアクセシブルな書籍を出版するにあたっての可能性と課題について話し合いました。その様子を書籍化し、活字版とマルチメディアDAISY版で出版しました。 ■「録音雑誌製作貸出提言」、『録音雑誌全国調査報告書』(2006年7月発行)  2001年に「テープ雑誌の製作・貸出に関する提言の取りまとめのためのプロジェクトチーム」を結成し、録音雑誌の製作上の問題や貸出方法における課題について調査・研究を行いました。その結果をまとめたのがこの資料です。  同年9月には、この資料をもとに「視覚障害者等のための録音雑誌を考える集い」を開催(埼玉県川口市)。また、10月に開催された第32回全国視覚障害者情報提供施設協会・名古屋大会で「録音雑誌製作貸出提言」を発表しました。 ■『田中章治氏の退職を祝う会 記念講演会記録集 DAISY版』(2006年12月発行)  2006年11月なごや会例会(大阪府)で開催された「田中章治氏の退職を祝う会」の模様を収録。公共図書館における視覚障害職員第1号として約40年、なごや会代表として約20年活躍されてきた田中章治氏の記念講演や知人の言葉などを収録しています。 ■『見えない・見えにくい人も「読める」図書館』の出版  なごや会が2009年に発足20周年を迎えるに当たり、これを記念して、同年11月に出版したのが『見えない・見えにくい人も「読める」図書館』(有限会社 読書工房)です。主な内容は、なごや会の歴史、公共図書館の視覚障害職員のこと、公共図書館の視点からの視覚障害者サービスの歴史や現状と未来等。多くの会員がそれぞれの豊かな知見をもとに執筆を行いました。 ■「録音(DAISY)資料製作に関する全国基準」  DAISYが普及し、録音図書=音声DAISYの時代を迎え、DAISY編集と録音図書製作に関わる全国的な共通の基準の必要性を感じ、作成したのが「録音(DAISY)資料製作に関する全国基準」です。  なごや会、日図協、全視情協、全国音訳ボランティアネットワーク、DAISY編集者連絡会の5団体で作業を行い、2011年に発表。  全視情協には作業に協力いただきましたが、これまでの歴史や立場の違いからこの『基準』への参加は断念という結果になりました。ただ、「音声DAISY製作の際の申し合わせ事項」をまとめ、作業に関わった全5団体で合意し、全視情協とは協力関係を継続して行くことになりました。     若手会員からの声  ここでは、結成20周年以降の入会者の中からお二人に、なごや会の活動に参加しての感想などを書いてもらいました。     なごや会に参加して                            滋賀県立図書館 吉田沙矢香  私は先天性の眼疾のため、強度の弱視です。就職活動をしていた2012年から、なごや会に加入しています。2015年から滋賀県立図書館に勤務し、障害のある方へのサービスに関わる仕事をしています。  私は、視覚障害者の社会参加の支援に関わる仕事に就きたいと考えていました。就職活動をしていた時、なごや会の方と出会い図書館での仕事についてお話を伺いました。諸先輩方が、視覚障害者としての経験や点字の知識を生かし、高齢者や障害者へのサービス担当としてご活躍されていることを知りました。視覚障害者の読書や情報環境に関わる仕事にぜひ就きたいと考え、大学の通信教育で司書資格を取得しました。なごや会の先輩方から、司書資格のための勉強方法の助言や図書館職員の採用試験の情報をいただき、現在の仕事に繋がりました。  なごや会では年に一度、観光を兼ねた泊りがけの例会や支部例会が行われています。参加した際には、自館のサービス立案や働く上での工夫について相談し、助言をいただいています。新たな音訳・点訳協力者の掘り起こし、各館で実施している障害者や高齢者向けの講座、視覚障害を補いながら働く上での課題など、様々なことについて情報交換をしています。例会で出される疑問や悩みは、どれも解決に結びつく情報や意見をぜひ聞きたいと思う内容ばかりです。  2018年になごや会では、図書館での仕事に関心のある視覚障害者に向けた雇用パンフレットを作成し、公開セミナーを開催しました。私も、セミナーで高校生や大学生の方などに、図書館で担当している仕事や視覚障害を補うための補助機器や支援についてお話しました。その際に、障害者枠の司書採用試験が実施されても応募者がいない現状があることを伺い、図書館での仕事が視覚障害者の就労の選択肢として十分に知られていないのではないかと感じました。今後、就職を目指す方に図書館での仕事について知ってもらえるように、なごや会での啓発活動にも参加していきたいと思います。     若手会員からの声     なごや会に参加して                  国立大学法人香川大学図書館医学部分館 細川和真  この度は、なごや会結成30周年、なごや会会報発行50号ということ、誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。  私が香川大学図書館に入職して3年が経過しまして、4年目のスタートを切ったところです。大学図書館は各キャンパスに大抵1館はあるようで、香川大学も4館あります。私は障害者合同面接会で、たまたま図書館と博物館を担当している「情報図書グループ」と明記された求人があり、ご縁がありまして入職しました。大学院修士課程は出ていても、図書館は初めてで、視覚障害者(弱視・視野狭窄)となってから初めての雇用だったため、右も左も分からず、利用者登録とOPAC用のWindowsパソコンのアップデート、文献複写物の到着確認(書誌情報があっているかどうか)というのが主な仕事でした。そんな中、香川県視覚障害者福祉センターの方が、「なごや会という視覚障害者の図書館職員の会がある、ちょうど例会というのが近日行われる。」というお話を伺い、事務局まで問い合わせをしました。公共図書館と大学図書館は、図書館ということで似ているけれど、対象者や設置目的、蔵書の内容も異なります。このことはお分かりになると思いますので、説明は省略します。なごや会事務局へ公共図書館ではないのですが、入会は可能か、という問い合わせをいたしました。図書館の種別は問わないし、興味がある方なら入会できると、あたたかく迎え入れられ、今日に至ります。  なごや会に入会して、驚いたのは、皆さんが職場から、拡大読書器やスクリーンリーダーなどの視覚支援機器を提供されていたことでした。大学は予算が厳しいのか、図書館の利用者向けにも拡大読書器が設置されていませんでした。なごや会の皆様には、メーリングリストで質問を行い、あるいは、情報提供を行いました。また、図書館システムの入れ替えの話もあり、それに関する話題も上りました。結局、音声が載りにくいシステムが継続されましたが、図書館業務の助けとなったと思います。今では、大学機関リポジトリの登録を主な仕事としております。中には、リポジトリ担当は私だ、ということで問合せが来ることもあります。出版社の著作権ポリシーも調査していますが、一部の部署から、自ら出している論文誌の著作権ポリシーをどうするべきか、などという問い合わせも頂きます。私は司書資格は持ってないのですが、なごや会の皆様の仕事ぶりであったり、西部支部会へ出席して、積極的になにかしようとお考えになっている会員の皆様を見たり、話をしたりして、何か出来るという自信や勇気を頂いたおかげと思います。  また、昨年度に図書館に監査のような視察のようなものが在りまして、その結果、「バリアフリーが不足している」という指摘をいただいたようです。上の者から「バリアフリーといわれても、点字ブロックぐらいしか思いつかない、でも大学全体でやらないと意味が無い。」という話を聞き、「何か障害者のための機器類をまとめて欲しい」と依頼を受けました。拡大読書器やスクリーンリーダーというものを要求しました。それと併せて、当館のエレベーターは古いのか、点字表示がなかったので、「点字をタックテープに書くので貼り付けさせて欲しい。これだけでもバリアフリーに一歩近づけると思う。」と上司に申し出ました。上司から「良い案だ、大学の施設管理部署に相談しよう。」と積極的な回答を得られました。設備の担当部署からも「そういう目的なら問題ない。」と回答を得たので、私が点字をタックテープに書いて、貼り付けてもらいました。現在でもそれは使われています。また、拡大読書器も据え置き型が香川大学図書館4館に1台ずつ設置され、視覚障害者に対してのバリアフリーは向上しました。国立大学もまた障害者差別解消法による合理的配慮の提供義務があるので、少しでもお役に立てたと思っております。これもひとえになごや会の皆様のアドバイスのおかげと思っております。  今後、なごや会に期待したい、やってもらいたいものとしては、視覚障害職員の採用問題も当然なのですが、働き続けられるようにするため雇用を守る取り組みも大切だと思います。5年間の有期雇用というような、期限付きの雇用が多く、折角これまで身につけたスキルが無駄になってしまうのは勿体ない。また、その都度就職先を探さなければならないのも大変です。図書館での視覚障害者の雇用を増やし、安心して働き続けられるような施策を、単独では無理かも知れませんが、考えなければならないと思います。  最後になりましたが、なごや会の益々のご発展を祈念いたしますと共に、皆様方の更なるご活躍とご健勝をお祈り申し上げます。     なごや会30年のあゆみ                                  会報編集委員会  以下の年表は、『なごや会会報第30号』(2009年9月発行)に掲載された「なごや会20年のあゆみ」に、2009年10月以降の本会の取り組みを中心に加筆して作成したものです。 1989年  9月    公共図書館で働く視覚障害職員が全国で10名になったことをきっかけに「公共図書館で働く視覚障害職員の会(通称「なごや会」結成(名古屋市の王山会館(現ルブラ王山)) 1990年  9月   第2回なごや会例会(横浜市) 1991年  10月   第3回なごや会例会(大阪府枚方市) 1992年  2月   『会報創刊号』発行  9月   第4回なごや会例会(福島県いわき市)  10月   「国立国会図書館の障害者サービスを考える連絡会」が結成され、本会も参加団体となる。 1993年  秋ごろ  東部支部会(埼玉県立川越図書館 他)  10月   第5回なごや会例会(大阪府豊中市) 1994年  6月   東部支部会(宇都宮市立図書館 他)  9月   第6回なごや会例会(横浜市) 1995年  2月   「国立国会図書館の障害者サービスを考える連絡会」から、国立国会図書館への障害者の雇用を求める趣旨の請願が出され、衆参両院で採択されたにも関わらず、国立国会図書館は、視覚障害者の行える仕事がないと否定的な見解を示す。  4月   「国立国会図書館の障害者サービスを考える連絡会」は、国立国会図書館の視覚障害者雇用を求めて抗議文を出し、同館と話し合いを行ったが、進展見られず。  6月   東部支部会(四街道市立図書館 他)  9月   『会報第2号』発行  同月   第7回なごや会例会(三重県四日市市)。この中で行われた総会において、「なごや会・申し合わせ」を改廃して、新たに「会則」を制定し、常任委員会の設置を決定 1996年  1月   『会報第3号』発行  5月   「国立国会図書館の障害者サービスを考える連絡会」が、衆参両院の議員運営委員会の各会派17名に対し、国立国会図書館および衆参両院職員として視覚障害者を採用するよう請願行動を実施。  6月   「国会図書館の敷居を低くする集い」(参議院会館第1会議室)において、本会会員3名が、公共図書館で視覚障害者が働く意義について報告。国立国会図書館の総務部長と人事課長に459通の陳情書を提出。  7月   東部支部会(豊島区立中央図書館ひかり文庫 他)  同月   『会報第4号 (特集「視覚障害者と健常者が共に働くためには」)』発行  9月   第8回なごや会例会(東京都)。国立国会図書館との懇談会を実施。  12月   「視覚障害者の雇用促進を求める要請書」を全都道府県の知事・教育長、政令指定都市の市長・教育長および東京23区の区長・教育長に発送 1997年  1月   『会報第5号 (特集「障害者と健常者が共に働くためにはパート2」)』発行  2月   西部支部会(福岡市総合図書館 他)  同月   13日(日)からの1週間、本会の活動がJBS(日本福祉放送)で報道される。  6月   東部支部会(日本点字図書館 他)  7月   『会報第6号 (特集「DAISYを考える―その可能性と問題点」)』発行  11月   第9回なごや会例会(大阪市)。総会において「手をつなごうすべての視覚障害者全国集会」への団体加盟を決定。  12月   大阪府に「大阪府立中央図書館に対して視覚障害者の採用を求める要請書」を提出  同月   DAISY促進委員会の作業委員会になごや会から2名の委員を派遣 1998年  1月   『会報第7号 (特集「個々の図書館別にみる視覚障害者サービスの現状と課題」)』発行  2月   大阪府よりなごや会事務局に対し98年度の司書採用試験の募集要項が郵送され、点字での受験が認められたことを確認  同月   西部支部会(金沢市立泉野図書館、石川県視覚障害者情報文化センター 他)  6月   手をつなごうすべての視覚障害者全国集会要請行動に参加(国立国会図書館)  同月   本会会員が、国立国会図書館に対し点字(またはパソコン)による視覚障害者にも門戸の開かれた採用試験の実施を文書で要求。受験不可能との回答文が受験表と共に返送される。  このころ 埼玉県、浦和市、川越市、草加市に、視覚障害職員雇用の要請書を提出  このころ 「デイジー・通信」発行  7月   点字による採用試験は実施しないとの国立国会図書館からの回答に対し、同館長当て抗議文を提出  同月   『会報第8号 (特集「公共図書館および視覚障害者情報提供施設(点字図書館)における障害者サービスのあり方・目指すもの」)』発行  9月   東部支部会(千葉県立西部図書館 他)  10月   国立国会図書館に関するシンポジウム「今再び問い直す、国立国会図書館の視覚障害者サービス」を全国視覚障害者雇用促進連絡会と共催で開催  11月   第10回なごや会例会(川崎市)  同月   社会民主党全国連合に対し、著作権法改正のための要請活動を実施  12月   「手をつなごうすべての視覚障害者全国集会要請行動」に参加(文化庁)  このころ 本会から委員を派遣していたDAISY促進委員会各作業委員会が発展的解消 1999年  1月   『会報第9号 (特集「なごや会に望むこと」)』発行  同月   公共図書館でのDAISYへの取り組みのガイドラインを示すことを目的に日本図書館協会DAISY利用促進ワーキンググループが作られ、なごや会からも委員を派遣。  3月   DAISY化の促進の取り組みを行っている日本障害者リハビリテーション協会、全国視覚障害者情報提供施設協会、日本図書館協会が情報共有のため組織した「DAISY連絡会」の第1回目の会議で本会からの質問を討議  5月   「国会図書館に視覚障害職員の採用を求める請願」を全国視覚障害者雇用促進連絡会と共に行う。  6月   衆議院の委員会で、浜田健一議員らから公共図書館が抱える著作権問題に関する質問が行われる(本会が前年行った、社民党への陳情を受けたもの)。  同月   本会会員が国立国会図書館に対して、点字による採用試験の実施を求めて願書を提出したが、前年と同様に願書は返送される。  7月   手をつなごうすべての視覚障害者全国集会要請行動に参加(国立国会図書館)  同月   『会報第10号 (特集「DAISYへの取り組み」)』発行  このころ  国立国会図書館への視覚障害者の雇用と受験の機会均等を求める国会請願活動を全国視覚障害者雇用促進連絡会に協力する形で行ったが、請願は保留扱いとなった。  8月   西部支部会(福井県視覚障害者福祉協会情報提供センター 他)  9月   東部支部会(千葉県立東部図書館 他)  11月   第11回なごや会例会(名古屋市)。なごや会結成10周年記念大会として、公開シンポジウム・パネルディスカッション「いま公共図書館に望むこと、視覚障害者サービスを中心に」など開催。  12月   手をつなごうすべての視覚障害者全国集会要請行動に参加(文部省) 2000年  1月   『会報第11号 (特集「なごや会結成10周年」)』発行  3月   EYEマーク・音声訳推進協議会と交流  同月   本会から委員を派遣していた日本図書館協会DAISY利用促進ワーキンググループ、活動終了  4月   大阪府立中央図書館に、新規採用の視覚障害者(本会会員)が司書として配属される。  6月   手をつなごうすべての視覚障害者全国集会参加団体の紹介や、運動のアピールが行われた。(東京都障害者福祉会館)  7月   西部支部会(滋賀県立視覚障害者センター 他)  同月   『会報第12号 (特集「国立国会図書館を考える」)』発行  9月   東部支部会(日本点字図書館 他)  10月   第12回なごや会例会(静岡県熱海市)  同月   「EYEマーク・音声訳推進協議会」と共同で民主党、社民党を訪問。両党発行の機関誌や所属議員の発行する著書にEYEマークを掲載してもらうよう要請するとともに、障害者に情報提供を行う際の著作権法問題について理解を求めた。  11月   手をつなごうすべての視覚障害者全国集会要請行動に参加(文部省、国立国会図書館) 2001年  1月   『会報第13号 (特集「録音雑誌の製作・貸出を考える」)』発行  3月   『今後の公共図書館に望むこと − 視覚障害者サービスを中心に(なごや会結成10周年記念パネルディスカッション記録集)』発行  7月   西部支部会(日本ライトハウス盲人情報文化センター 他)  同月   『会報第14号 (特集「総合ないーぶネットを学ぼう」)』発行。  11月   第13回なごや会例会(京都市)。シンポジウム「今、問われる音訳資料の“質”とは?」開催。総会において、テープ雑誌の製作・貸出に関する提言取りまとめのためのプロジェクトの立ち上げを決定。  このころ 京都府に対して視覚障害者の雇用促進を求める要請書を提出 2002年  1月   『会報第15号 (特集「録音資料の質の問題を考える」)』発行  3月   東部支部会(東京都障害者福祉会館 他)。パソコンについての研修会など開催。  6月   京都府立図書館に、視覚障害職員(本会会員)が配属される。 7月   『会報第16号 (特集「録音雑誌の製作・貸出についてよりよい方策を考える」)』発行  10月   西部支部会(日本ライトハウス盲人情報文化センター 他)  同月   日本図書館協会と全国視覚障害者情報提供施設協会と連名で「障害者の情報アクセス権と著作権問題の解決を求める声明」を発表し、アジア太平洋障害者の10年最終年を記念した一連の国際会議にメンバーが出席し、プレゼンテーションを行う。(「第6回障害者インターナショナル世界会議札幌大会(DPI札幌大会)」「アジア太平洋ブラインドサミット会議」「アジア太平洋障害者の10年最終年記念フォーラム大阪フォーラム」「国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)アジア太平洋障害者の10年最終年ハイレベル政府間会合」)  11月   第14回なごや会例会(千葉市)  同月   なごや会メーリングリスト正式発足 2003年  1月   『会報第17号 (特集「なごや会4つの資料を作成」)』発行  2月   東部支部会(株式会社ラビット 他)  7月   手をつなごうすべての視覚障害者全国集会要請行動に参加(厚生労働省)  同月   『会報第18号 (特集「今、公共図書館の障害者サービスが危ない」)』発行  10月   西部支部会(日本ライトハウス盲人情報文化センター 他)  11月 第15回なごや会例会(京都府、大阪府)。総会において賛助会員制度を創設。  同月   『視覚障害者とともに働くQ&A集』発行 2004年  1月   東部支部会(東京都港区の中華飯店で交流会)  同月   『会報第19号 (特集「DAISYをめぐる最近の動向」)』発行  2月   なごや会主催、図書館問題研究会共催による「出版物のアクセシビリティを考えるセミナー」開催(東部支部会を兼ねる。)(日本図書館協会)  3月   公共図書館、点字図書館を対象に全国録音雑誌実態調査実施(2005年まで) 4月   『本のアクセシビリティを考える 〜著作権・出版権・読書権の調和をめざして〜』発行  5月   手をつなごうすべての視覚障害者全国集会要請行動に参加(厚生労働省)  7月   『会報第20号 (特集「公共図書館における点訳・音訳者等の図書館協力者のありかたを考える」)』発行  同月   『視覚障害者とともに働くQ&A集』の販売を(株)大活字に委託  9月   西部支部会(日本ライトハウス盲人情報文化センター 他)  11月   第16回なごや会例会(金沢市)  12月   手をつなごうすべての視覚障害者全国集会要請行動に参加(厚生労働省、自民党、民主党) 2005年  1月   東部支部会(東京都港区立港勤労福祉会館 他)  同月   『会報第21号 (特集「障害利用者への図書館からの働きかけ、利用者教育」)』発行  5月   東京都立中央図書館に、視覚障害者の司書職員の配置を求める要請書を、本会を含む有志の会が提出  7月   西部支部会(枚方市立中央図書館 他)  同月   「都立中央図書館利用者の会」「全国視覚障害者雇用促進連絡会」など4団体とともに、都・教育委員会と懇談。本会からは、司書資格をもつ点字使用者の採用を要望すると共に、視覚障害者を採用する意義について、これまでの実績にも触れながら説明。  同月   『会報第22号 (特集「各図書館におけるDAISYへの取り組み状況」)』発行  11月   第17回なごや会例会(静岡県浜松市)。公開シンポジウム「公共図書館の障害者サービスと図書館協力者やボランティアとの関係を考える」開催。  12月   手をつなごうすべての視覚障害者全国集会要請行動に参加(文部科学省、文化庁) 2006年  1月   『会報第23号 (特集「なごや会例会ってどんなもの 浜松例会を振り返って」)』発行  同月   手をつなごうすべての視覚障害者全国集会要請行動に参加(文部科学省、文化庁)  7月   「録音雑誌製作・貸出提言」、「全国録音雑誌一覧」、『録音雑誌全国調査報告書』発行  同月   『会報第24号 (特集「障害者サービスの歴史と展望」)』発行  8月   様々な図書館のDAISY図書の編集方法などを利用者の視点で調査する「DAISY評価実験」実施(同年11月まで)  9月   「視覚障害者等のための録音雑誌を考える集い」開催(埼玉県川口市)  10月   第32回全国視覚障害者情報提供施設協会大会で「録音雑誌製作貸出提言」を発表  11月   第18回なごや会例会(大阪府)。「田中章治氏の退職を祝う会」開催。  12月   『田中章治氏の退職を祝う会 記念講演会記録集 DAISY版』発行 2007年   1月   なごや会ホームページ開設。  同月   デジタル録音機DR-1の視覚障害者へのアクセシビリティについてシナノケンシ株式会社と懇談(日本図書館協会)  2月   『会報第25号 (特集「録音雑誌に望むこと」)』発行  同月   東部支部会(東京都港区の中華飯店で交流会)  同月   手をつなごうすべての視覚障害者全国集会要請行動に参加(総務省)  同月   シナノケンシ株式会社に対し、DR-1の商品化に際して視覚障害者の使用に配慮してほしい旨の要望書を提出  3月   日本図書館協会障害者サービス委員会主催「田中章治氏の退職を祝う会」講演(さいたま市)  6月   東部支部会 「視覚障害者を含めてのDR-1ゆっくり説明会」(東京都港区立港勤労福祉会館 他)  同月   西部支部会 「三上洋さんを囲む会」(大阪市立労働会館 アピオ大阪 他)  同月   「障害者福祉会館の存続を求める署名」(東京都障害者福祉会館を守る利用者の会)になごや会として団体署名を行う。  7月   手をつなごうすべての視覚障害者全国集会要請行動に参加(国立国会図書館)  8月   『会報第26号 (特集「DAISY録音・再生機の現状と課題」)』発行  同月   東部支部会 「DX-5Uゆっくり操作説明会」(東京都港区立港勤労福祉会館)  同月   『録音雑誌全国実態調査報告書』の販売を株式会社音訳サービス・Jに委託  10月   第19回なごや会例会(長野県上田市)。「DAISYフォーラム in 上田」など開催。 2008年  2月   手をつなごうすべての視覚障害者全国集会要請行動に参加(文化庁)  同月   『会報第27号 (特集「点字図書館を知ろう」)』発行  3月   シナノケンシ株式会社が開発を進めている小型DAISYプレイヤーについて、同社と意見交換(東京都障害者福祉会館)  4月   シナノケンシ株式会社に、小型DAISYプレイヤーについての意見提出  5月   日本図書館協会と共に進める「DAISY編集基準」および「録音図書製作基準」作成に向けての作業グループに本会からも委員を派遣  8月   『会報第28号 (特集「点字、点訳サービスについて語り合おう」)』発行  9月   手をつなごうすべての視覚障害者全国集会要請行動に参加(経済産業省、厚生労働省)  10月   第20回なごや会例会(福島県いわき市)  12月   「DAISY編集基準」、「録音図書製作基準」作成委員会に新たに全国視覚障害者情報提供施設協会、全国音訳ボランティアネットワーク、DAISY編集者連絡会が加わり、団体の枠を超えて基準の全国統一を目指すことになった。 2009年  2月   手をつなごうすべての視覚障害者全国集会要請行動に参加(厚生労働省)  同月   『会報第29号 (特集「公共図書館における「ないーぶネット」活用事例」)』発行  9月   『会報第30号(記念特集号)』発行  同月   手をつなごうすべての視覚障害者全国集会要請行動に参加  11月   なごや会結成20周年記念事業として読書工房より『見えない・見えにくい人も「読める」図書館』を出版(初版1,500部)  同月   第21回なごや会例会(横浜市)。なごや会結成20周年記念イベント「これからの障害者サービス 公共図書館の可能性」などを開催。       総会において、「手をつなごう全国視覚障がい者連絡会」からの退会を決定。 2010年  2月   『会報第31号 (特集「著作権法改正」)』発行  5月   東部支部会(株式会社ラビット 他)  7月   西部支部会(日本ライトハウス情報文化センター 他)  8月   『会報第32号 (特集「弱視者と図書館」)』発行  12月   第22回なごや会例会(韓国 ソウル特別市 他)。3泊4日の日程で韓国国立中央図書館、韓国点字図書館の見学、ナザレン大学見学と同大学での国際セミナー参加、ソウル市内観光など。 2011年  2月   国立国会図書館の「全文テキスト化・検索実証実験」に本会会員が協力  3月   『会報第33号 (特集「なごや会、韓国へ!!」)』発行  同月   東日本大震災発生、本会会員も被災  6月   東部支部会(株式会社ラビット)  7月   西部支部会(日本ライトハウス情報文化センター)  8月   『会報第34号 (特集「東日本大震災、そのとき私たちは」)』発行  11月   第23回なごや会例会(大阪市) 2012年  1月   「録音(DAISY)資料製作に関する全国基準」発表報告会〜よりよい録音図書を製作するために〜に、「録音(DAISY)資料製作全国基準検討委員会」の共済団体として参加(東京都江戸東京博物館)  2月   『会報第35号 (特集「録音(DAISY)資料製作に関する全国基準」ができました」)』発行  7月   東部支部会(日本図書館協会会議室)、西部支部会(玉水記念館)で、「録音(DAISY)資料製作に関する全国基準」の学習会を実施  8月   『会報第36号 (特集「今どんな仕事をしていますか?」、小特集「図書館障害者サービスとしての震災対策していますか?」)』発行  12月   第24回なごや会例会(東京都調布市)。シンポジウム「障害者にわかりやすい音訳・録音資料の基本を考える」など開催。 2013年  3月   『会報第37号 (特集「聞きやすい、わかりやすい音訳とは」、追悼特集「鎌田明彦さんをしのんで」)』発行  4月   国立国会図書館長に対し「障害者用デジタルデータ配信サービスについての要望書」を提出。国会図書館によるDAISY、点字、テキストデータの配信サービス開始に向け、サピエ図書館のサイトからも同サービスにアクセスできるようにしてほしい旨などを要望。  6月   西部支部会(玉水記念館 他)。読み書き支援サービスについての意見交換等。  7月   障害者用デジタルデータ配信サービスに関する要望について、国立国会図書館関西館図書館協力課と懇談  同月   東部支部会(日本図書館協会 他)。読み書き支援サービスについての意見交換等。  8月   『会報第38号 (特集「どうなる!国立国会図書館のDAISY等配信サービス」)』発行  9月   「読み書き支援」のあり方についての異見交換会を開催(東京都障害者福祉会館)  11月   第25回なごや会例会(鳥取市)。鳥取県立図書館との共催イベント「鳥取から始まる障害者サービス」など開催。 2014年  1月   滋賀県人事委員会から、平成25年度身体障害者を対象とした滋賀県公立図書館職員(司書)採用選考試験の実施が発表され、受験要件に「活字印刷文による出題に対応できる者」という項目が含まれていることが明らかになる  同月   滋賀県知事、同教育長、滋賀県立図書館長に対し「平成25年度身体障害者を対象とした滋賀県公立図書館職員(司書)採用選考試験の実施に関する要望書」を提出。       滋賀県立図書館を訪問し、点字とパソコンによる試験の実施を求め副館長と話し合いを実施。試験日まで時間がないこと、視覚障害者が働くための環境整備が不十分であることなどの理由で前向きな回答は得られなかった。       本会会員がパソコン受験をしたい旨の文書を添えて願書を提出したが、受理されず、他に受験希望者がいなかったため試験は未実施となる。  2月   日本盲人会連合と滋賀県視覚障害者福祉協会から、滋賀県に対し身体障碍者を対象とした司書選考採用試験の実施について抗議文提出。この問題がNHKや点字毎日などでも報道される。  同月   滋賀県議会の本会議で、司書選考採用問題が取り上げられ、教育長が答弁の中で重度の視覚障害者も受験できるよう検討を進めることを表明。  同月   『会報第39号 (特集「望ましい読み書き支援を語り合う」)』発行  6月   韓国点字図書館のユック館長来日。本会会員も参加しての埼玉県立久喜図書館の見学会、夕食会。  7月   滋賀県が「平成26年度身体障害者を対象とした滋賀県公立図書館職員(司書)採用選考試験」における点字とパソコン試験の実施を発表。本会会員の視覚障害者が受験し、合格。  同月   東部支部会(株式会社ラビット 他)  同月   西部支部会(日本ライトハウス情報文化センター 他)  9月   『会報第40号 (特集「音訳者・点訳者の減少問題」、小特集「進む新たな読書環境」)』発行  11月   第26回なごや会例会(名古屋市)。内部学習会「音訳者・音訳ボランティアの高齢化を考える」(名古屋市立鶴舞中央図書館)、公開学習会「図書館における障害者サービスの歴史:明治〜昭和初期の実践を中心に」(愛知県図書館)など開催。  12月   障害者差別解消法に基づく基本方針(原案)への意見提出 2015年  2月   『会報第41号 (特集「視覚障害以外の図書館利用に障害のある人へのサービス」』発行  2月   立命館大学等からの依頼を受け、本会会員有志が電子図書館のアクセシビリティ実証実験に参加(〜3月)。音声読み上げやデータの読み込み、ビューワの使用感等で多くの仮題を指摘。  4月   滋賀県立図書館に、新規採用の視覚障害者が司書として配属される。  8月   国立国会図書館に対し、障害者サービスに関する要望書提出。要望項目は視覚障害者雇用の実現のほか、対面朗読は場所提供ではなく主体的に実施すること、学術文献録音DAISY資料の製作期間の短縮等9項目。  同月   東部支部会  9月   『会報第42号 (特集「電子図書館アクセシビリティ実証実験に参加しました」)』発行  同月   西部支部会(大阪府立中央図書館)。主に視覚障害のある大学生・高校生などを対象に、公開イベント「公共図書館の視覚障害者職員の仕事と視覚障害者サービス」開催。  同月   「あらゆる文字情報の読み書き支援を図書館で行うべき」という主張に対する本会の見解をなごや会ホームページに掲載  10月   国立国会図書館図書館協力課と同館の障害者サービスについて懇談  11月   第27回なごや会例会(福島市)。福島県立図書館と共催で「障がい者サービス研修会」開催 2016年  2月   「国立国会図書館における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領(案)」に対する意見提出  同月   『会報第43号 (特集「図書館等における合理的配慮」)』発行  5月   前月発生した熊本地震に対し義捐金送付  6月   東部支部会(富山サンライズ)  同月   西部支部会(日本ライトハウス情報文化センター 他)  7月 横浜市中央図書館長宛てに視覚に障害のある職員の採用についての要望書提出  8月   横浜市中央図書館から、視覚に障害のある職員が図書館に配属されるよう人事担当部所に要望している旨の回答送付  同月   図書館流通センター、大日本印刷とTRC-DLのアクセシビリティについて懇談(TRC大阪支社)  9月   『会報第44号 (特集「図書館の障害者サービスPRどうしていますか?」)』発行  11月   第28回なごや会例会(滋賀県立図書館等)。研修「公共図書館で障害者職員が働く意義と滋賀県立図書館の障害者サービス」、など開催。 2017年  2月   平成28年度滋賀県公共図書館協議会 実務委員会第2回全体会(滋賀県立図書館)の開催に本会会員が協力  3月   『会報第45号 (特集「読書相談、どうしていますか?」)』発行  5月   横浜市教育長と人事委員会当てに視覚障害者の雇用を求める要請文提出  6月   横浜市から、視覚障害者の雇用を求める要請文に対する回答送付  7月   東部支部会(株式会社ラビット 他)  8月   横浜市中央図書館長当てに視覚障害を持つ職員の採用に関する要望書提出  同月   名古屋市教育長、総務局長当てに視覚障害者の図書館への採用を求める要望書提出  9月   『会報第46号 (特集「電子書籍、電子図書館入門」)』発行  同月   横浜市図書館から、視覚障害を持つ職員の採用に関する要望書に対する回答送付  同月   西部支部会(枚方市民会館会議室 他)  10月   図書館への視覚障害者雇用についての相談のため職業訓練機関、大学等を訪問(12月ごろまで)  11月   第29回なごや会例会(戸山サンライズ)。出版UD研究会&なごや会セミナー「聞いて・感じて、音声による読書の世界」(日本文芸家協会)、内部研修会「読者の多様なニーズにどこまで応えることができるのか?」(戸山サンライズ)など開催。 2018年  2月   視覚障害者雇用促進PR用パンフレット「公共図書館は視覚障害者が活躍できる職場です」発行  同月   東京、名古屋市において、セミナー「公共図書館は視覚障害者が活躍できる職場です」開催(日本図書館協会、名古屋市鶴舞中央図書館)  同月   関西SL(関西地区の大学で学ぶ視覚障害学生などで構成されるグループ)のメンバーと視覚障害者雇用について懇談(枚方市民会館会議室)  同月   大学を訪問し、図書館への視覚障害者雇用について説明  3月   『会報第47号 (特集「PTR3の登場で視覚障害者の読書環境、図書館サービスはどう変わるか」)』発行  7月   名古屋市教育長、総務部長宛てに視覚障害者の図書館への採用を求める要望書を提出  同月   本会ホームページで「なごや会の「TRC−DL」に対する見解」を公表  8月   名古屋市より図書館への視覚障害者の雇用を求める要望書に対する回答送付。  9月   『会報第48号 ( 特集「私の図書館就職記」)』発行  同月   東部支部会(株式会社ラビット会議室 他)  同月   西部支部会(日本ライトハウス情報文化センター 他)  同月   名古屋市との雇用に関する懇談 (名古屋市役所)  10月   国などによる障害者雇用率の水増し問題を受け、国立国会図書館長宛てに視覚障害職員採用に関する要望署提出  同月   国立国会図書館総務部長等と、視覚障害職員の採用についての話し合い  11月   第30回なごや会例会(高知市)。オープンセミナー「いま、高知から〜見えない・見えにくい人への情報提供を考える」(オーテピア高知)など開催。 2019年  3月   国立国会図書館が、平成31年度職員採用試験で点字による受験(パソコンによる音声読み上げを補助として併用可)を認めることを発表  同月   本会ホームページで「視覚障害者のための電子書籍のアクセシビリティ基準」公開  同月   『会報第49号 (特集「高知例会2018 playback!!」)』発行  4月   国立国会図書館が「平成31年度国立国会図書館障害者選考採用(係長級、係員級)」の実施を発表(点字による受験可)  同月   横浜市中央図書館に、新規採用の視覚障害者が配属される  同月   名古屋市が、平成31年度身体障害者を対象とした名古屋市職員(司書)採用試験の実施をを発表。試験は、点字による出題・回答の形式で実施。  6月   第198回国会(常会)において、「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(読書バリアフリー法)成立  7月   「平成31年度国立国会図書館障害者選考採用(係長級)」に本会会員の視覚障害者が合格  同月   東部支部会(株式会社ラビット会議室 他)  同月   西部支部会(日本ライトハウス情報文化センター 他)     おわりに  障害者権利条約の採択とその批准に向けた取り組みを契機とした10数年間の変化は、私たちにとって大きなインパクトのあるものでした。障害のある人が当たり前の存在として生きられる社会の実現を目指した法制度の整備が行われ、障害の有無にかかわらず多くの人が使えるサービスや製品づくりに繋がりそうな技術開発も進んでいます。  振り返ってみると、なごや会にとって結成20周年からの10年は、こうした変化への対応に追われた日々だったように思います。図書館への視覚障害者雇用を求める働きかけなど結成以来の取り組みが一定の成果に繋がった一方、誰もが利用できる電子書籍の開発や普及に図書館職員や資料製作者、ユーザーの立場からどのように関わって行ったらよいのかなど、新しい課題が沢山表れてきています。また、DAISY図書の普及やインターネットを利用したサービスの発展に伴う情報格差の問題も、見過ごすことのできない課題です。  そして、なごや会のこの10年は、相次ぐ世代交代への対応を迫られるものでもあり、こうした状況は暫く続くことになりそうです。図書館を取り巻く環境が厳しさを増す中、一人でも多くの視覚障害者が図書館職員として働く機会を得られるようにするにはどうしたらよいのか、そして働き続けれるようにするにはどうしたらよいのか、知恵を絞っていきたいと思います。  なごや会は、会員数50名ほどの小さな団体ですが、それぞれが専門分野や多彩な特技、趣味を持ったユニークな人材の集まりでもあります。自分の職場だけでは解決策に辿り着けそうにない問題にぶつかったとき、健常者が大多数である環境では話しにくい悩みに直面して息苦しさを感じたとき、相談できる人が沢山います。じつは、なごや会の最大の魅力は、そうした面ではないかと思っています。  最後になりましたが、結構ハードな内容になった『会報50号』をお読みくださった皆さんに、心から感謝申し上げます。そして、今号の製作にあたりご意見をいただいた皆さん、またそれぞれ忙しい中、原稿執筆や墨字校正などを引き受けてくださった皆さん、本当にありがとうございました。                        2019年8月 会報編集長 仁科豪士  (なごや会では会員および賛助会員を募集しています。公共図書館の障害者サービスに興味・関心のある方ならどなたでも参加できます。詳しいことは事務局あるいはお近くの会員までお問合わせください。連絡をお待ちしています。)  奥付 公共図書館で働く視覚障害職員の会 「なごや会」 会報第50号 (結成30周年記念号) 発行日 2019年9月30日 編集・発行 公共図書館で働く視覚障害職員の会「なごや会」  メールアドレス:jimukyoku@nagoyakai.com  ホームページ:https://www.nagoyakai.com/ 編集責任者 会報編集委員会 仁科豪士  墨字校正 小林妙子、谷口由紀  点訳 仁科豪士 発行責任者 服部敦司