公共図書館は視覚障害者が活躍できる職場です     なごや会は図書館への就職を応援します 公共図書館で働く視覚障害職員の会(なごや会) ホームページ https://www.nagoyakai.com/ 事務局メールアドレス jimukyoku@nagoyakai.com  なごや会は、1989年に全国の公共図書館で働く視覚障害者が中心になって発足しました。  現在は、点字図書館の職員や音訳ボランティアなどを含む50名ほどのメンバーで、会員相互の親睦と情報交換、専門家集団としての出版物の刊行などのほか、一人でも多くの視覚障害者が図書館で働く機会を得られるよう活動しています。 視覚障害者が図書館で働く意義と携わっている業務内容 ■ 視覚障害者が公共図書館で働く意義  公共図書館の障害者サービスは、点字・録音図書の貸出、対面朗読など視覚障害者向けのサービスを基礎に発展し、さまざまな障害者へのサービスへと拡大しつつあります。私たちは今後も視覚障害者へのサービスのノウハウが重要になると考えています。  視覚障害者は、自らの経験などを生かすことで、見えない・見えにくい人のニーズや読書の方法などを理解しやすい立場にあります。そんなスキルを持つ視覚障害者が職員として加わることで、図書館の障害者サービスの質は上がります。  これまで40年以上にわたり30人を超える視覚障害者が各地の公共図書館で働き、障害者サービスの分野で大きな役割を果たしてきました。 ■ 視覚障害者は公共図書館でどんな仕事をしているのか  これから視覚障害者が実際に行っている仕事のいくつかを紹介します。 ○障害者サービス用資料の製作  視覚障害者等に使いやすい点字図書・録音図書製作のコーディネイターとして、点訳者、音訳者との間で読みや図表の処理の指示やアドバイスなどをしたり、デジタル録音図書(デイジー)の編集について検討するなどの作業を行います。 ○障害者サービス用資料の所蔵調査・貸出  利用者から希望のあった点字や録音図書をスクリーンリーダーの入ったパソコンを使って探し、貸出します。自館の資料だけではなく、サピエ図書館や国立国会図書館サーチ(障害者向け資料検索サイト)などのネット上のデータベースも利用します。また、活字の資料についても検索や貸出をすることもあります。サピエ図書館や国立国会図書館サーチからは、登録された図書データ(コンテンツ)をダウンロードして貸し出すこともあります。 ○対面朗読サービスの調整   対面朗読の希望者から日程と読みたい資料を聞き、音訳者を探すなどの作業を行います。 ○障害者サービス・事業の企画立案  障害者サービスはどんどん新しいサービス方法や資料が出てきます。このような新しいサービスへの対応を学び、自館に取り入れるための企画を行います。 ○音訳者等の養成・研修、講師業務  自館の点訳者や音訳者の養成講座・技術向上のための講習会、障害者関連のセミナーの企画を行います。また、経験を積んだ職員は自らこうした講座の講師をすることもありますし、外部の講習会の講師を依頼されることもあります。 ○読書器やIT機器の操作の指導  障害のある利用者にプレクストーク等の読書器の操作の仕方やインターネットでの図書検索の方法、パソコンと関連機器、関連ソフトを使った読書の方法などを説明します。  ここにあげたものは業務の一部です。  視覚障害職員はそれぞれの得意技術を生かしてさまざまな図書館業務に従事しています。 視覚障害職員の公共図書館の雇用状況 ■公共図書館で働く視覚障害者の状況 ○基本情報 雇用総数 27人、その他大学図書館 1人 県立・市立の別 都府県立 11人、市区立 16人 雇用形態 正規 23人、再任用 2人、非常勤 2人 全盲・弱視の別 全盲 19人、弱視 8人 ○配属先図書館名(一部)  【都府県立】   大阪府立中央図書館 正職員全盲1名   京都府立図書館 正職員全盲1名   埼玉県立久喜図書館 正職員全盲1名(以前は2人)   滋賀県立図書館 正職員弱視1名   千葉県立図書館(全館) 正職員 全盲2名・弱視1名   東京都立中央図書館 正職員全盲2名  【 市区立 】   いわき市立いわき総合図書館 再任用職員弱視1名   大阪市立中央図書館 正職員全盲1名   千葉市中央図書館 正職員全盲2名   名古屋市鶴舞中央図書館 再任用職員全盲1名   日野市立中央図書館 正職員全盲1名   枚方市立中央図書館 正職員全盲1名   横浜市中央図書館 正職員全盲1名(以前は2人)   四日市市立図書館 正職員全盲1名  【 大学図書館 】   国立大学法人香川大学図書館医学部分館 非常勤職員弱視1名 (2017年11月、なごや会調べ)     (参考)司書資格の取得方法 〜図書館で働くために 司書資格は、司書講習を受講するか、大学・短大で必要な単位を修得することで取得できます。 具体的には?  ・大学、短大又は高等専門学校を卒業した人、または3年以上司書補として勤務した人が司書講習を修了する。 ・大学・短大で司書資格取得に必要な科目を履修する。(大学、短大を卒業する必要があります。通信教育での履修も可能です。) ※大学・短大に在学中で司書資格の取得をご希望の方は、在学中のところで司書養成科目が開講されていないかをご確認ください。  詳しくは、文部科学省のウェブサイト    http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/gakugei/shisyo/index.htm などをご参照ください。 視覚障害者が司書資格を取得した事例のある大学一覧  以下にあげる大学は、なごや会会員(視覚障害者)が司書資格を取得したところ、または調査時点で視覚障害者の受講生がいることが確認されたところです。この他に、大学在学中に司書科目を履修し資格を取得した者が多数います。  「大学、コース名」「修業年限(または講習期間)」「備考」の各欄の内容は、2017年11月末時点での各校ホームページの掲載内容を参考にしています。 ■近畿大学通信教育部  ・取得者数 4名  ・受講方法 通信教育(スクーリング含む。図書館実習あり。)  ・修業年限 1年  ・問い合わせ先(URL 等) 学部・コース案内|通信教育部概要|近畿大学通信教育部 http://www.kindai.ac.jp/tsushin/guide/course.html  ・備考:入学受付は随時。入学手続き後2週間程度で学習を開始できる。  地域ごとに在学生による自主的な学習会を開催。 ■佛教大学通信教育課程  ・取得者数 2名(うち1人は現在受講中)  ・受講方法 通信教育(スクーリング含む。)  ・修業年限 1年  ・問い合わせ先(URL 等) 佛教大学 通信教育課程 http://tsushin.bukkyo-u.ac.jp/               科目履修コース|課程・コース|佛教大学 通信教育課程 http://tsushin.bukkyo-u.ac.jp/course/subjects/  ・備考:入学受付は年2回(3〜4月、9〜10月)。  地域ごとに学友会の支部があり、定期的に学習会や個別相談会などを開催。 ■八洲学園大学   ・取得者数 1名(現在受講中)  ・受講方法 通信教育(スクーリング含む。)  ・修業年限 最短半年  ・問い合わせ先(URL 等) 【最短半年】で図書館司書資格取得|通信制の八洲学園大学 http://www.yashima.ac.jp/univ/shisho/shisho_index.php  ・備考:入学受付は年4回(1〜4月、5月〜6月、7〜10月、11〜12月)。  スクーリング履修もインターネットのみでの受講が可能(授業は横浜キャンパスに登校しての受講も可)。  毎月インターネット上で説明会や交流会を開催(来校しての相談も可)。  学費提携教育ローン(授業料等の分割払いサービスで、月々の返済金額は6,000円から)の利用可。 (2017年11月末現在)