点訳者・音訳者等、資料製作者に対する指導・助言 (事例紹介) ■点訳ボランティアとの関わりを通して視覚障害者理解を広げる 奥野真里(日本ライトハウス情報文化センター) 1 点訳ボランティアをはじめるきっかけはさまざま  私が日ごろ、点訳ボランティアの方と接する上で大切にしていること、それはコミュニケーションです。  皆さんが点訳活動を始められるきっかけは様々です。しかし、その多くの方が「点字は初めて」、「視覚障害者に接したことがない」とおっしゃいます。初めて点字を学ばれる方は、まず点字の読み書きや、分かち書き・レイアウトなどの点訳技術を習得することが必須です。それらを身につけながら、知識と経験をつんでいきます。 2 制作の上で注意していること  点字図書の制作にあたって気をつけたいことは、誤字脱字。そして、想像力も必要です。  例えば、造語や同音異義語が出てきたときに、その言葉の意味が読者に伝わるかどうかを考えていただきたいのです。  また、図表・写真・イラストを点訳する際も、言葉でどのように補足をすればよいのか、本文に即した言葉選びなど、点訳者の役割は大きいと思います。 3 コミュニケーションがカギ  ただ、点訳ボランティアがすべてを背負うのではなく、上記のことを考えるときに、当事者の職員もいっしょに考えています。「このような表現でイメージできるか」、「説明をどこに挿入したらわかりやすいか」など、ご自身の中で疑問に思われることを積極的に相談していただいています。  そういった疑問点を相談するためには、ボランティアが当事者に説明をする必要があります。墨字の書籍がどう書かれているか、点訳者が考えていることを伝えなくては前絵進めません。  最初は要領を得ず戸惑われる方もおられますが、視覚障害者職員とのコミュニケーションを通して、点字図書の制作はもちろん、視覚障害者理解にもつながっていくと感じています。