文部科学省委託事業 令和2年度読書バリアフリーに向けた図書館サービス研修 「ピアサポートができる司書等育成研修会」のご案内 公共図書館で働く視覚障害職員の会(なごや会) タイムスケジュール ●1月25日(月) 12:00~ Zoom入室開始 13:00~13:15 開講式・オリエンテーション 司会:佐藤聖一(埼玉県立久喜図書館、日本図書館協会 障害者サービス委員会委員長) 13:15~13:55 基本研修1 視覚障害者等の読書環境に係わる法・制度等の基本(著作権法、郵便法、マラケシュ条約、読書バリアフリー法等) 講師:杉田正幸(国立国会図書館関西館、日本図書館協会 障害者サービス委員会 関西小委員会委員長) 13:55~14:35 基本研修2 視覚障害者等の読書を支えるツールの基本(障害者用資料、機器等) 講師:松井 進(千葉県立西部図書館、公共図書館で働く視覚障害職員の会事務局長) 14:35~14:50 休憩(15分) 14:50~15:30 視覚障害者が公共図書館で働く意義と目的(歴史、現状報告を含む) 講師:服部敦司(枚方市立中央図書館、公共図書館で働く視覚障害職員の会代表) 15:30~16:50 パネルディスカッション 「いま、なぜピアサポートなのか-未来へ向けてのメッセージ」 パネリスト:杉田正幸、松井進、服部敦司、尾崎 栞(埼玉県立久喜図書館)、中山玲子(日野市立中央図書館) ※視覚障害職員の現状や課題について討論し、図書館の障害者サービスにおける障害当事者の存在の重要性と今後の可能性について考えます。 16:50~17:00 まとめ 服部敦司 17:00 終了 ●1月26日(火) 9:00~ Zoom入室開始 9:30~11:30 読書ツールの利用と指導Ⅰ iPhoneを使用した指導の考え方とポイント 講師:荒川明宏(株式会社ラビット代表取締役) 11:30~12:30 休憩(60分) 12:30~13:30 読書ツールの利用と指導Ⅱ さまざまな読書スタイルの最新情報 講師:荒川明宏 13:30~13:40 休憩(10分) 13:40~15:10 読書ツールの利用と指導Ⅲ PTR3(DAISY再生機)の指導 講師:荒川明宏 15:10~15:20 休憩(10分) 15:20~16:20 点訳者・音訳者等、資料製作者に対する指導・助言 (事例紹介) 司会:宮崎佳代子(千葉県立東部図書館) パネリスト:奥野真里(日本ライトハウス情報文化センター)、斉藤恵子(横浜市中央図書館) 16:20~17:00 全体のまとめと情報交換 17:00 終了 出演者プロフィール  佐藤聖一(さとう・せいいち) 1987年 失明して以前の仕事を退職 1987年 近畿大学通信教育部で司書資格取得 1990年 埼玉県立川越図書館(司書)入庁、その後県立浦和図書館を経て、現在に至る 埼玉県立久喜図書館バリアフリー読書推進担当、明治大学文学部兼任講師、日本図書館協会障害者サービス委員会委員長 著作『1からわかる図書館の障害者サービス――誰もが使える図書館を目指して』(学文社)など  杉田正幸(すぎた・まさゆき) 2000年 大阪府の一般枠の司書採用試験に点字で受験し合格。視覚障害者として初めて大阪府の司書正規職員として中央図書館で20年間、障害者サービスに携わる 2019年 国立国会図書館障害者選考採用試験に合格 2020年4月 国立国会図書館関西館 図書館協力課障害者図書館協力係に配属となり、現在に至る 日本図書館協会障害者サービス委員会関西小委員会委員長、公共図書館で働く視覚障害職員の会(なごや会)西部支部長、日本障害者リハビリテーション協会 パソコンボランティア指導者養成事業研修運営委員会委員及び障害者へのICT活用研修会講師 国立国会図書館関西館、日本図書館協会障害者サービス委員会関西小委員会委員長。  松井 進(まつい・すすむ) 統合教育を経て中学から盲学校へ。読書の手段を一般文字から点字や録音図書に切り替える。アメリカ留学後、点字による公務員採用試験を経て千葉県庁職員に採用。現在は、千葉県立西部図書館に勤務。 盲導犬に関する図書を執筆し、録音版、点訳版、大活字版、電子書籍版などの多媒体出版を行い、読書のバリアフリー活動に取り組む。 また、当事者の立場から「買う読書」「借りる読書」の実現と充実を目指して研究開発や普及活動に取り組んでいる。 公共図書館で働く視覚障害職員の会(なごや会)事務局長。  服部敦司(はっとり・あつし) 1990年、枚方市初の点字試験により図書館司書として採用され、楠葉(くずは)図書館に配属。2005年、中央図書館の開館と同時に同館に異動し、現在に至る。枚方市立中央図書館障がい者・高齢者サービス担当、近畿視覚障害者情報サービス研究協議会事務局長、公共図書館で働く視覚障害職員の会(なごや会)代表。  尾崎 栞(おざき・しおり) 東京生まれ。高等部まで盲学校で学び、大学・大学院へ進む。大学の通信教育課程で図書館司書の資格を取得後、2020年4月に埼玉県に入庁。埼玉県立久喜図書館バリアフリー読書推進担当に配属。  中山玲子(なかやま・れいこ) 子どものころは色や光が見えていたが、その後視力が下がり、2009年に両眼共に全盲になる。中学部まで盲学校に通い、1989年、東京都立南平高等学校卒業。その後1年間東京都日野市の臨時職員として働き、2年目から正職員に。6年間日野市ふるさと博物館勤務を経て、日野市立中央図書館で25年間障害者サービス担当として勤務している。長年のさまざまな図書館利用者との関わりだけではなく、プライベートな時間にボランティアとして活動しているライフコーチとしての学びや経験も活かし、利用者一人一人が「私の居場所」となれる図書館であることを大切にしている。 荒川明宏(あらかわ・あきひろ) 東京都生まれ。9歳で完全に失明。栃木県立盲学校卒。日本ライトハウス情報処理科卒。 一般企業でSEとして勤務。株式会社アメディアに転職。視覚障がい者向けソフトの開発、営業を行う。 1999年3月 株式会社ラビットを設立 日本盲人社会福祉施設協議会常務理事、サイトワールド実行委員長、視覚障害者支援総合センター評議委員 2008年 盲導犬クォーツと歩き始める。現在は2頭目のグミちゃん 宮崎佳代子(みやざき・かよこ) 千葉県立東部図書館読書推進課副主査。  奥野真里(おくの・まり) 2002年~2008年名古屋ライトハウス名古屋盲人情報文化センター・展示図書館事業部勤務。2009年~日本ライトハウス情報文化センター・点字製作係に勤務。点訳ボランティアの養成・指導等行っている。  斉藤恵子(さいとう・けいこ) 大学在学中に司書資格取得。中央館開館に際し実施された障害者特別枠試験を経て、1993年4月に横浜市入庁。横浜市戸塚図書館で勤務後、中央館開館と同時に、1994年4月より横浜市中央図書館サービス課で勤務。 ? ◎基本研修1 視覚障害者等の読書環境に係わる法・制度等の基本 (著作権法、郵便法、マラケシュ条約、読書バリアフリー法等) 講師:杉田正幸(国立国会図書館関西館、日本図書館協会 障害者サービス委員会 関西小委員会委員長) 1.障害者サービスに関する法・制度の最近の動き (1)障害者の権利に関する条約 2006年12月国連採択 (2)著作権法第37条第3項 2009年6月改正 この法改正で視覚障害者等用資料を公共図書館が著作者の許諾なく制作できるようになった、発達障害者等への対象者の拡張、資料の譲渡が認められた (3)障害者差別解消法 2013年6月制定 (4)障害者の権利に関する条約 2014年1月批准 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken/index_shogaisha.html (5)図書館における障害を理由とする差別の解消の推進に関するガイドライン 2016年3月 http://www.jla.or.jp/portals/0/html/lsh/sabekai_guideline.html (6)障害者差別解消法 2016年4月施行 https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai.html (7)盲人,視覚障害者その他の印刷物の判読に障害のある者が発行された著作物を利用する機会を促進するためのマラケシュ条約(略称:視覚障害者等による著作物の利用機会促進マラケシュ条約) 2018年10月寄託、2019年1月より効力発生 https://www.mofa.go.jp/mofaj/ila/et/page25_001279.html (8)著作権法改正 2019年1月施行 https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/h30_hokaisei/ 適用対象となる障害種の肢体不自由者までの拡張、製作したデータの電子メール送信、製作主体のボランティア団体への拡張 (9)視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(読書バリアフリー法) 2019年6月施行 https://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/gakusyushien/1421441.htm (10)視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る基本的な計画 2020年7月策定 https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_00265.html 2.著作権法 (1)点字図書:誰が作ってもよい。誰が提供してもよい。(37条1項、2項) ・貸出(第38条第4項による) ・譲渡(第47条の7による) ・ネット送信(自動公衆送信) ・メール送信(公衆送信) (2)録音図書、マルチメディアDAISY、テキストデータなど(第37条第3項) ・貸出(第38条第4項による) ・譲渡(第47条の7による) ・ネット送信(自動公衆送信) ・メール送信(公衆送信) ①障害者入所施設や図書館等の公共施設の設置者(著作権法施行令 第二条 視覚障害者等のための複製等が認められる者) ・障害児入所施設及び児童発達支援センター ・大学等の図書館及びこれに類する施設 ・国立国会図書館 ・視聴覚障害者情報提供施設 ・図書館法第二条第一項の図書館(司書等が置かれているものに限る) ・学校図書館 ・養護老人ホーム及び特別養護老人ホーム ・障害者支援施設及び障害福祉サービス事業(生活介護、自立訓練、就労移行支援又は就労継続支援を行う事業に限る)を行う施設 ②文化庁長官が個別に指定する者 視覚障害者等のための複製・公衆送信が認められる者について(文化庁) https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/1412247.html 文化庁長官の個別指定を受けている団体一覧 https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/pdf/r1412247_03.pdf ③視覚障害者等のために情報を提供する事業を行う法人(法人格を有しないボランティア団体等を含む)で要件を満たす者 視覚障害者等のための複製・公衆送信が認められる者の一覧(一般社団法人 授業目的公衆送信補償金等管理協会) https://sartras.or.jp/dai37jyo/ 著作権法施行令第2条第1項第2号の視覚障害者等のための複製・公衆送信が認められる者の一覧(2020年12月24日更新版) https://sartras.or.jp/wp-content/uploads/37_list.pdf イ 技術的能力及び経理的基礎を有していること ロ 法に関する知識を有する職員が置かれていること ハ 視覚障害者等の名簿を作成していること ニ 法人の名称並びに代表者の氏名及び連絡先その他、文部科学省令で定めるところにより、公表していること (3)図書館の障害者サービスにおける著作権法第37条第3項に基づく著作物の複製等に関するガイドライン(日本図書館協会など5団体):著作権法第37条第3項に規定される権利制限に基づいて、「視覚障害その他の障害により視覚による表現の認識が困難な者」に対して図書館サービスを実施しようとする図書館が、著作物の複製・譲渡・公衆送信を行う場合に、その取り扱いの指針を示すことを目的とするもの。 https://www.jla.or.jp/library/gudeline/tabid/865/Default.aspx 別表1「ガイドラインで想定される障害」 別表2「利用登録確認項目リスト」 (4)著作権法第37条第3項ただし書該当資料確認リスト(日本図書館協会):出版されている場合は購入や相互貸借により提供(新たに製作はできない) https://www.jla.or.jp/library/gudeline/tabid/859/Default.aspx 3.郵便法 (1)点字郵便物、特定録音物等郵便物:点字は誰でも送れる、録音は指定を受けた施設のみ 盲人用郵便物(日本郵便) https://www.post.japanpost.jp/int/service/braille_points.html 特定録音物等郵便物を発受することができる施設(日本郵便) https://www.post.japanpost.jp/service/standard/shisetsu/index.html 様式49特定録音物等郵便物発受施設指定請求書(内国郵便約款第177条関係) http://www.post.japanpost.jp/about/yakkan/7-1.pdf (2)図書館用ゆうメール(心身障害者用ゆうメール):図書館と障がいのある方との間で図書を閲覧するために発受することができるサービス(届け出制) https://www.post.japanpost.jp/img/service/you_pack/goriyou_annai.pdf 様式8 心身障害者用ゆうメール利用( )届(心身障害者用ゆうメール運賃料金表Ⅱの1関係) https://www.post.japanpost.jp/about/yakkan/7-4.pdf (3)聴覚障がい者用ゆうパック:字幕入り・手話入りの映像資料を指定施設から聴覚障害者に送付することができるサービス(届け出制) 聴覚障がい者用ゆうパック(日本郵便) https://www.post.japanpost.jp/service/you_pack/disablity/index.html 日本郵便株式会社が指定した聴覚障がい者の福祉を増進することを目的とする施設(日本郵便) https://www.post.japanpost.jp/service/you_pack/disablity/shisetsu.html 様式4 聴覚障害者用ゆうパック発受施設指定請求書(聴覚障害者用ゆうパック運賃料金表Ⅱ関係) https://www.post.japanpost.jp/about/yakkan/7-4.pdf 4.マラケシュ条約 盲人,視覚障害者その他の印刷物の判読に障害のある者が発行された著作物を利用する機会を促進するためのマラケシュ条約の締結に伴う利用しやすい様式の複製物の国境を越える交換について(文化庁) https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/marrakesh/ マラケシュ条約は、視覚障害者等による発行された著作物の利用を促進するため、[1]視覚障害者等のための著作権の制限及び例外を設定するとともに、[2]当該制限及び例外を適用することにより作成された著作物の複製物を本条約の締約国間で交換する体制を整備するもの (1)本条約における「著作物」とは、発行されているか又は他のいかなる媒体において公に利用可能なものとされているかを問わず、文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約第2条(1)に規定する文学的及び美術的著作物であって、文字・記号又は関連する図解の形式によるものであること。(第2条(a)) (2)本条約における「受益者」は、[1]盲人である者、[2]視覚障害又は知覚若しくは読字に関する障害のある者であって、印刷された著作物をそのような障害のない者と実質的に同程度に読むことができないもの、[3]身体的な障害により、書籍を持つこと若しくは取り扱うことができず、又は目の焦点を合わせること若しくは目を動かすことができない者のいずれかに該当する者であること。(第3条) (3)締約国は、受益者のために著作物を利用しやすい様式の複製物(点字・大きな文字の書籍・デジタル録音図書等)の形態で利用可能とすることを促進するため、自国の著作権法において、複製権・譲渡権及び公衆の利用が可能となるような状態に置く権利の制限又は例外について定めること。(第4条) (4)締約国は、利用しやすい様式の複製物が作成される場合には、権限を与えられた機関(Authorized Entity)(以下「AE」という。)が、当該利用しやすい様式の複製物を他の締約国の受益者若しくはAEに譲渡し、又は他の締約国の受益者若しくはAEの利用が可能となるような状態に置くことができることを定めること。(第5条) (5)締約国の国内法令は、受益者等又はAEが著作物の利用しやすい様式の複製物を作成することを認める範囲において、権利者の許諾を得ることなく受益者のために利用しやすい様式の複製物を輸入することを認めるものとすること。(第6条) 国内のマラケシュ条約におけるAEには著作権法施行令第2条第1項各号に規定するものがなれるが、国内外の窓口機能として中心的な役割を果たす機関として、当面、国立国会図書館及び特定非営利活動法人全国視覚障害者情報提供施設協会が当たる。 国立国会図書館「マラケシュ条約に基づく読書困難者のための 書籍データの国際交換サービス」を開始 https://www.ndl.go.jp/jp/news/fy2019/marrakesh.html 障害者向け資料検索結果|「ABC Global Book Service」に一致する資料(国立国会図書館サーチ) https://iss.ndl.go.jp/books?any=ABC+Global+Book+Service&filters%5B%5D=0_R100000073&mediatypes%5B%5D=8&search_mode=handicapped 5.視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(読書バリアフリー法) (1)「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(令和元年法律第49号)」が令和元年6月28日に公布・施行 ①視覚障害者等(=視覚障害、発達障害、肢体不自由等の障害により、書籍について、視覚による表現の認識が困難な者)の読書環境の整備を総合的かつ計画的に推進 ②障害の有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現に寄与 (2)国・地方公共団体の責務(4条・5条) ①国は、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策を総合的に策定・実施 ②地方公共団体は、国との連携を図りつつ、地域の実情を踏まえ、施策を策定・実施 (3)基本的施策(9条~17条) ①視覚障害者等の図書館利用に係る体制整備等(9条) ②インターネットを利用したサービス提供体制の強化(10条) ③特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援(11条) ④アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等(12条) ⑤国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備(13条) ⑥端末機器等・これに関する情報の入手支援(14条) ⑦情報通信技術の習得支援(15条) ⑧アクセシブルな電子書籍等・端末機器等に係る先端的技術等の研究開発の推進等(16条) ⑨製作人材・図書館サービス人材の育成等(17条) 6.視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画 読書バリアフリー法 第7条に基づき、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため令和2年6月28日に国が策定したもの (1)アクセシブルな電子書籍等の普及及びアクセシブルな書籍の継続的な提供  ・アクセシブルな電子書籍等(=音声読み上げ対応の電子書籍、デイジー図書、オーディオブック、テキストデータ等)について、市場で流通するものと、著作権法第37条に基づき障害者施設、図書館等により製作される電子書籍等を車の両輪として、その普及を図る。  ・視覚障害者等の需要を踏まえ、引き続きアクセシブルな書籍(=点字図書、拡大図書等)を提供するための取組を推進する。  (2)アクセシブルな書籍・電子書籍等の量的拡充・質の向上  ・公立図書館、点字図書館、大学及び高等専門学校の附属図書館、学校図書館、国立国会図書館において各々の果たすべき役割に応じアクセシブルな書籍等を充実させる。  ・アクセシブルな書籍等を全国の視覚障害者等に届ける仕組みとして図書館間の連携やネットワークを構築する。  (3)視覚障害者等の障害の種類・程度に応じた配慮  ・読書環境の整備を進めるに当たり、視覚障害者等の個々のニーズに応じた適切な形態の書籍等を用意する。  【施策の方向性】  (1)視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等(9条関係)  ・公立図書館等や国立国会図書館、点字図書館におけるアクセシブルな書籍等の充実  ・各図書館の特性や利用者のニーズ等に応じた、円滑な利用のための支援の充実  ・視覚障害等のある児童生徒及び学生等が在籍する学校における読書環境の保障  ・公立図書館等における障害者サービスの充実  (2)インターネットを利用したサービスの提供体制の強化(10条関係)  ・アクセシブルな書籍等の統合的な検索システムに係る十分な周知  ・国立国会図書館やサピエ図書館のサービスの周知、サービス内容や提供体制等の検討  ・サピエ図書館への会員加入の促進などサピエ図書館の安定的な運営に資する支援の推進  (3)特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援(11条関係)  ・サピエ図書館における製作手順や仕様基準の作成支援  ・特定書籍・特定電子書籍等(=著作権法第37条により製作されるアクセシブルな書籍・電子書籍等)の製作ノウハウ共有等による製作の効率化  ・製作者への電磁的記録の提供に関する課題や具体的方法について出版関係者との検討の場を設置  (4)アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等(12条関係)  ・ICT技術等の進歩を適切に反映した規格等の普及の促進  ・アクセシブルな電子書籍等の販売等に関する著作権者と出版者との契約に資する情報提供  ・書籍購入者への電磁的記録の提供に関する課題や具体的方法について出版関係者との検討の場を設置  ・民間電子書籍サービスの図書館への導入を支援  (5)外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備(13条関係)  ・受入れ・提供機関の役割分担等による円滑な入手及び外国への提供の促進  (6)端末機器等及びこれに関する情報の入手支援、ICTの習得支援(14条・15条関係)  ・点字図書館等とICTサポートセンターの連携による端末機器等の情報の入手支援  ・点字図書館と公立図書館の連携によるサピエ図書館等のICTを用いた利用方法に関する相談・習得支援、端末機器の貸出等の支援  ・地方公共団体による端末機器等の給付の実施  (7)アクセシブルな電子書籍等・端末機器等に係る先端的技術等の研究開発の推進等(16条関係)  ・研究開発やサービス提供者に対する資金面の支援及び開発成果の普及  (8)製作人材・図書館サービス人材の育成等(17条関係)  ・司書、司書教諭・学校司書、職員等の資質向上に資する研修等の実施  ・点訳者・音訳者、アクセシブルな電子データ製作者等の計画的な人材の養成 ? ◎基本研修2 視覚障害者等の読書を支えるツールの基本 (障害者用資料、機器等) 発表者:松井進(千葉県立西部図書館、公共図書館で働く視覚障害職員の会事務局長) 発表概要:従来書籍と言えば紙に印刷された資料を意味していたが、近年では様々な媒体や読書方法が存在している。 視覚障害者の読書方法も、従来の点字本や録音図書から、パソコンだけでなくタブレットやスマートフォン、スマートスピーカーなどを活用することで読書の幅や可能性が広がっている。  今回の発表では前半で従来から提供されている点字本や録音図書、大活字本などの障害者用各種資料について概説する。また中盤で読書に役立つ各種ツールや機器について取り上げる。後半では電子書籍(ワード・テキスト文書、PDF、EPUB<イーパブ>、マルチメディアデイジー等を読み上げるパソコンやスマートフォン、スマートスピーカー等読書障害者の読書の最新動向について解説する。 1.従来からの障害者用資料について (1)点字資料 ・点字図書  全国の点字図書館を中心に、盲学校や、公共図書館の一部や、ボランティアグループ、社会福祉協議会などで提供されている。 詳細は国会サーチ、サピエで検索可。 購入:下記の点字出版所等で販売されている。 日本点字図書館 点字図書の販売 http://www.nittento.or.jp/sale/sales.html 社会福祉法人東京点字出版所 http://www.toten.or.jp/ 社会福祉法人日本ライトハウス点字情報技術センター http://www.lighthouse.or.jp/tecti/ ・点訳絵本、点字付き絵本 一部の点字図書館や公共図書館で貸し出しが行われている他、下記団体等からも提供されている。 借受:てんやく絵本 ふれあい文庫(特定非営利活動法人) http://tenyaku-ehon.la.coocan.jp/ 全国の視覚障害者の方に、郵送によるてんやく絵本の、無料貸出サービスを実施。 購入:点字つき絵本の出版と普及を考える会 http://www.tenji.shogakukan.co.jp/ 「点字絵本のリスト」のページあり、出版流通しており購入可能。 ユニバーサルデザイン絵本センター http://www.ud-ehon.net/ehon/ 立体印刷、点字とさわるイラスト(つるつるやざらざらの感触のものや、ふわふわの布が貼ってあるもの等)。 ・点字雑誌 国会サーチ、サピエで検索可。 *サピエ>地域生活情報>お知らせ に点字・録音雑誌リストあり (2)録音資料 DAISY、マルチメディアDAISY ・録音資料 DAISY(デイジー):Digital Accessible Information SYstemの略。アクセシブルな情報システム。目次から読みたい章や節、任意のページに飛ぶことができる。 借受:国会サーチ、サピエで検索可。 購入:下記の企業・団体等で販売。「図書館の障害者サービスにおける著作権法第37条第3項に基づく著作物の複製等に関するガイドライン(2019年11月1日一部改定)著作権法第37条第3項ただし書該当資料確認リスト」日本図書館協会・障害者サービス委員会サイト内 (https://www.jla.or.jp/library/gudeline/tabid/859/Default.aspx )も参照。 株式会社音訳サービスJ (DAISY)http://onyakuj.com/ ことのは出版株式会社(オーディオCD) http://www.kotonoha.co.jp/ でじじ(オーディオCD、電子書籍)http://www.digigi.jp/ *同じ複製の形式のものが販売等されていない場合に、図書館等で録音資料を製作できる ・マルチメディアDAISY マルチメディアDAISY:音声にテキスト、画像をシンクロ(同期)。読み上げ部分のハイライト機能や画面・文字の色の変更等が可能。 借受:国会サーチ、サピエで検索可。 寄贈・購入:下記団体等から購入、又は寄贈依頼が可能。 公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 DAISYのページ http://www.dinf.ne.jp/doc/daisy/ *誰でも自由にダウンロードできるマルチメディアデイジーデータあり。無料でダウンロードできる再生ソフト(AMIS)あり。 社会福祉法人日本ライトハウス情報文化センター http://www.lighthouse.or.jp/iccb/ 印刷された活字著作物を読むことに困難のある子どもたちのためのマルチメディアデイジー図書の無料配信あり。 公益財団法人伊藤忠記念財団 電子図書普及事業 わいわい文庫 https://www.itc-zaidan.or.jp/summary/ebook/waiwai/ 「わいわい文庫」のうち、青い盤面(Ver.BLUE)収録作品は著作権者の許諾を得ており、障害の有無に関わらず誰でも利用可能。 (3)テキストデータ 一部の公共図書館やボランディアグループを中心に作成されている。 国会サーチで検索可(視覚障害者等用データ送信サービス)。プレーンテキスト・EPUB3・DOCX・透明テキスト付PDF *サピエはテキストデイジーのみ (4)大活字本、拡大写本  一部の公共図書館や点字図書館、盲学校、ボランティアグループなどで提供されている。  国会サーチで資料種別「大活字」検索可。 サピエで貸出形態「拡大文字」検索可。 購入:下記出版社等で販売している。 (株)大活字 http://www.daikatsuji.co.jp/ (社福)埼玉福祉会 http://www.saifuku.com/annai/ (有)読書工房 http://www.d-kobo.jp/ 「大きな文字の青い鳥文庫」をオンデマンド販売 ※『大きな文字の漢字字典 小学校で学ぶ1006+20字』(桜雲会 2017.4)(上・下・さくいん巻の3冊セット)、三省堂の大きな活字の辞典シリーズ、大活字辞典シリーズなど、一般の出版情報で「大きい活字」のものにも留意。 (5)LLブック 「LL」はスウェーデン語で「やさしく読みやすい」を意味する言葉「Lattlast」の略。 購入・借受:下記リスト等で書誌情報を確認。国会サーチは一般検索ページで検索可。 近畿視覚障害者情報サービス研究協議会(近畿視情協)http://lnetk.jp/index.htm 「LLブック・マルチメディアデイジー(DAISY)資料リスト」(PDF)を掲載。 『LLブックを届ける やさしく読める本を知的障害・自閉症のある読者へ』(藤澤 和子/編著 読書工房 2009.3)巻末に「おすすめの本 LLブック・マルチメディアDAISY図書リスト」を掲載。 (6)布の絵本、触る絵本 布の絵本=絵本+遊具・教具。 購入:手作り布の絵本・フェルト手芸の店 もりお! http://morio-hobby.com/ すずらん文庫主宰、東京布の絵本連絡会代表の渡辺順子氏監修による布の絵本の製作キットを販売。本格的にサービスを実施するには、既存の地元ボランティアグループと協力・連携するか、「布の絵本制作ボランティア養成講座」を開催して活動へ(事例:福岡県立図書館)。 触る絵本は前述の点字付き絵本とともにユニバーサルデザイン絵本として販売も。 情報:バリアフリー絵本 布のえほん https://www.bf-ehon.net/nunonoehon すずらん文庫 地域の福祉施設での所蔵や、ボランティアグループがある場合も。 (7)映像資料 ・シネマデイジー 映画のサウンドに登場人物の表情や動作、画面の様子を説明する音声解説を付けてデイジー編集したもの。サピエで検索可。タイトル「シネマ・デイジー」で検索。 ・テレビ・デイジー NHK(日本放送協会)の協力のもと、音声解説の付いたテレビ番組を主音声とともに録音したもの。日本点字図書館のWEB OPACで検索可。 日本点字図書館「シネマ・デイジー」および、 「テレビ・デイジー」の貸し出しサービスのご案内 https://www.nittento.or.jp/service/rental/cinema_daisy.html 全視情協【サピエ】シネマ・デイジー目録 http://www.naiiv.net/material/?2016102802 サピエにアップされているシネマ・デイジー作品の目録 社会福祉法人聴力障害者情報文化センター http://www.jyoubun-center.or.jp/ 手話や字幕付きのDVD・ビデオの貸出を実施。 情報: 特定非営利活動法人バイリンガル・バイカルチュラルろう教育センター 日本手話CL絵本「ボール」 http://www.bbed.org/ball/index.html Palabra(パラブラ) http://palabra-i.co.jp/ 日本語字幕・多言語字幕・音声ガイド・手話付き映像制作会社。制作作品の一覧あり。 CINEMA Chupki TABATA(シネマ・チュプキ・タバタ)http://chupki.jpn.org/ 音声ガイドや字幕付き上映を常時行うユニバーサルシアター。 (8)アクセシブルな電子書籍 一般に販売されている電子書籍は障害者にアクセシブルでないものが多い。現在のところアクセシブルな形式はテキストデータの他、ドットブック、EPUB。 購入:グーテンベルク21 http://www.gutenberg21.co.jp/  このほか、例えばAmazonキンドル用の電子書籍は、資料によって読み上げ対応・非対応のものがある(Text-to-Speech)。商品情報では確認できないことも多く、試し読みが必要。 ? 2.視覚障害者用読書支援機器について (1)音声読み上げ・画面拡大対応パソコンの紹介  一般のパソコンに画面読み上げソフトや画面拡大ソフトをインストールすることにより、視覚障害者の単独での読書やインターネットの理容が可能となる。 録音図書配信サービス「サピエ図書館」や国立国会図書館から提供されている録音図書や電子書籍、点訳データなどが閲覧可能となっている。 〔主なソフト〕 ・画面読み上げソフト「PCトーカー」・「JAWS FOR WINDOWS」・「NVDA」等 ・音声読み上げ対応ソフト「NetReader」「MyBookⅤ」等 (2)読書に役立つタブレット端末の紹介  視覚障害者や知的障害者、読字障害など通常の活字による読書が困難な方でも、iOSやandroidに搭載されたアクセシビリティ機能を活用することにより、スマートフォンやタブレット端末が使用可能となっている。 ? 〔主なソフト〕 1 iOS用アプリケーション: ・DAISY再生アプリ「Voice of DAISY5」、「いーリーダー」 ・OCRアプリ「Seeing AI(Microsoft)、iよむべえ」 ・電子書籍閲覧アプリ「i文庫HD」 ・テキスト文書読み上げアプリ「Voice Dream Reader」 2 android OS用アプリケーション: ・スクリーンリーダ「ドキュメントトーカ for Andoroid」 ・電子書籍閲覧アプリ「読書尚友」(青空文庫ビューア) (3)具体的な電子書籍の読み上げ  1 iPhone、iPadの音声読み上げ機能  視覚障害者向けには画面読み上げ機能の「VOICEOVER」が標準で搭載されている他、文字拡大機能や画面表示のカスタマイズが可能となっている。 また健常者であっても「スピーチ」機能をON→アプリ内に保存されている文書を開く→「スピーチ」で読み上げが可能となる。 ※android系の端末もTalkBack機能で音声読み上げに対応可能。機種により操作が一律ではない 2.電子書籍端末Kindle Fireの音声読み上げ拡大機能 ・読み上げ機能起動 ホーム>本>書影を選択>本文上で1回タップ>画面右上の点点点>「その他の設定」>「読み上げ機能」をON>本文に戻って画面右下の再生ボタンをタップ>選択中のページの先頭から読み上げ開始 ・文字拡大機能 ホーム>設定>ユーザー補助>拡大鏡ON>本を起動して本文上で3回タップすると拡大>さらに2本指で広げたりつまんだりして拡大縮小>2本指で触れたまま上下左右 任意の方向に移動できる>本文上でもう一度3回タップして最初のサイズに戻る ・白黒反転表示 ホーム>設定>ユーザー補助>色の反転ON>本を起動するとすでに反転している (3)スマートスピーカーの紹介  AmazonのアレクサやLINEのクロバー、GoogleのGoogleホーム等から様々なスマートスピーカーが販売されている。また家電と接続しエアコンの操作や照明のオンオフ、テレビの操作なども可能となっている。 1 アレクサ 基本的なスキル紹介 ・「アレクサ 今何時?」 ・「アレクサ 今日の天気は?」 ・「アレクサ 「今日は何の日?」 2 Kindle書籍の読み上げ機能の紹介 ①電子書籍の読み上げ:「アレクサ キンドルを読んで」 読み上げ開始 ・「アレクサ 次」 次のページ ・「アレクサ 前」 前のページ ・「アレクサ 次のチャプター」 次の章 「アレクサ 前のチャプター」 前の章 ・「アレクサ 停止」 読み上げを停止 ②オーディオブックの再生:「アレクサ オーディオブックを再生して」  ・「アレクサ 次」 次のページ ・「アレクサ 前」 前のページ ・「アレクサ 次の章」 次の章 ・「アレクサ 前の章」 前の章 ・「アレクサ 停止」 読み上げを停止 3 読書や図書館利用を助けるグッズ・機器について (1)活字の読みにくさに効くグッズ・機器 ・リーディングトラッカー 活字の文面で前後の行を隠して、一行に集中して読めるようにする道具。 プラスチック製のものは、紙製の穴の部分が、半透明の黄色や緑色で おおわれている。背景色のバリエーションがいろいろあるので、活字との対比で自分の見やすい色を選ぶことができる。 プラスチック製の短冊型をかまぼこ型にしたものがある。ルーペ 機能が付いていて、一行分だけ背景色付きで拡大して読むことができる。 ・書見台 木製の書見台とアクリル板のセット。60度程度まで角度の調整ができる。 無理に前屈みにならなくても、自然な姿勢のまま、本に顔を近づけて読書ができる。 ◆拡大読書機(据え置き型・携帯型) 手元の本の文面を、最大50倍程度まで拡大して目の前のテレビ画面に映し出す。 特徴は拡大だけではない。背景色と文字色の組み合わせを変えられる。例えば、背景を黒色、文字を黄色など。その反対も可能。自分の好みで見やすい色の組み合わせを選べる。また、リーディングトラッカーのように前後の行を隠す(マスキングする)ことも可能。横書きと縦書きの両方に対応している。 据え置き型のほか、携帯型の拡大読書機もある。携帯型はサイズや映像はコンパクトデジカメに似ており、長い文章を映し出すよりは、狭い範囲の内容を確認する程度の使い方が合っている。 ・コミュニケーションの難しさに効くグッズ・機器 ◆やさしい利用案内 初めて図書館を訪れた人が最初に手に取るとしたら、それは利用案内ではないだろうか。だからこそそこで障壁を感じてあきらめてしまわないよう、配慮が必要になってくる。通常の利用案内との違いは次のような点にある。 ・文字が大きく、ルビが振られている。 ・行間が広く取られている。 ・文節ごとに余白が取られている(分かち書き)。 ・易しい日本語で表現されている。 ・記号や絵文字(ピクトグラム)を添えて、内容をイメージしやすくしている。 高齢の方、日本語以外を母語とする方、ディスレクシアの方などにも活用可能。 ・筆談ボード/コミュニケーションボード 「耳マーク」(聞こえが不自由なことと、そういった方への配慮を表すマーク)を掲示する他、筆談ボードやコミュニケーションボードを設置する。実際には手近なメモ帳を使ってやり取りすることが多いが、このようなマークやグッズがあることで、聞こえにくさを感じている方にも応対します、遠慮しないでという意思表示になっている。 また、コミュニケーションボードは聞こえにくい方だけでなく、 外国語話者や知的障害者とのやり取りへの活用も想定されている。 ◆対話支援機器コミューン 話し手がマイクに語りかけると、聞き取りやすい音に変換してスピーカーから発声する対話支援機器。通常のスピーカーと違って、音が拡散せず、一方向にだけ伝わる指向性がある。静けさを保ちたい館内で、目の前のその人にだけ聞こえるようにはっきり話すことができる。 ただ、これさえあれば万全というものではなく、人によって聞き取りにくさは違うので、状況に応じて筆談ボードを併用するなど創意工夫が必要となる。 4 まとめ ・様々な媒体や資料を準備することにより、読書障害者の自立的読書の可能性を探る。 ・読書支援機器については、操作方法を習得するための教材やアプリ、支援者の要請も大切となる ・読書支援機器については、弱視者や全盲、若年者と高齢者等ニーズやライフステージに即した効果的な学習プログラムの開発も必要である ・行政及び民間企業に置いて、アクセシビリティが確保された電子書籍の出版及び流通を促す施策が大切。 ・読書バリアフリー法の理念や目的を達成し、合理的配慮として、アクセシビリティが確保された電子書籍の出版と流通が当たり前になる仕組みを考える必要がある この発表で取り上げた資料やグッズ・機器の一つ一つは単なる図書館の備品であり、取り立てて注目するほどのものではないかもしれない。しかし適切な広報を行うことで利用者に様々な読書の方法や可能性について気づいてもらえる可能性が増すはずだ。 さらには職員の意識変化のきっかけとしても期待される。つまり、障害者サービスからユニバーサルサービスへの意識変化である。 私たち職員は、例えば拡大読書機や筆談ボードを障害者サービスの一環と考えがちではないだろうか。しかし実際には、障害者サービスの登録利用者だけでなく、様々な方に利用されている。例えば、加齢とともに活字が読みにくくなった方や、図書館を利用したいけれど職員とのやり取りに困難を感じる方がいるかもしれない。一般利用者の中にもそのような人々がいるかもしれないと想像してサービスを工夫すること、そして障害者サービスは何も特別なサービスではなく、一人ひとりの特性・状況に応じた方法でサービスしているだけ(極端なことを言えば小さい字が読みにくいという方に虫眼鏡を提供するのと同じこと)という意識で臨むことができるようになりたい。両者が結びついて一続きになったところに、誰にとっても使いやすいユニバーサルサービスが成立するのではないだろうか。 (参考サイトなど) ・サピエ図書館 https://www.sapie.or.jp/  全国視覚障害者情報提供施設協会(略して「全視情協」)が運営。個人会員と施設会員があり、個人は登録施設に利用登録していることが条件。個人A会員(視覚障害)、B会員(それ以外)の区別あり。会員はオンラインでのデータ利用(ストリーミング、データダウンロード)が可能。A会員と施設会員はオンラインリクエスト(資料の取り寄せ申込みをオンラインでできるサービス)も利用可能。 個人会員は利用無料。施設会員は年会費4万円(ボランティア団体1万円)。 会員以外でも、資料の検索が可能(ゲストページ)。資料所蔵機関の連絡先を ホーム>サピエとは>サピエ会員施設・団体一覧 で確認しFAX等で相互貸借申込みへ。 【参考】「サピエ」の名称:サピエンティア(Sapientia、ラテン語で「知識・叡智」を意味する言葉)から。 ・国立国会図書館サーチ http://iss.ndl.go.jp/ ・「障害者向け資料検索」タブを選択 ・国会図書館製作学術文献録音図書と、全国の公共図書館・点字図書館等が製作した点字図書・録音図書、全国の公共図書館等所蔵の大活字本を検索できる。 ・資料種別(点字/DAISY・テキストデータ/録音図書(DVD、CD)/録音図書(カセットテープ)/大活字)を絞り込んで検索可能。製作者名、所蔵館名による検索も可能。 全国視覚障害者情報提供施設協会が運営する「サピエ図書館」と連携をしており、サピエ図書館に収録されている点字図書や録音図書の書誌情報を検索できる。 ・日本図書館協会障害者サービス委員会「障害者サービス用資料の購入・入手先一覧」 (2020年7月13日更新) http://www.jla.or.jp/portals/0/html/lsh/shiryolist.html ? ◎視覚障害者が公共図書館で働く意義と目的(歴史、現状報告を含む) 講師:服部敦司(枚方市立中央図書館、公共図書館で働く視覚障害職員の会代表) 視覚障害者が公共図書館で働く意義と目的を、歴史や現状、それに読書バリアフリー法との関連から考え、ピアサポートの重要性についてお話します。 1 歴史 1970年代、公共図書館に障害者サービスが広がる 1974年、都立中央図書館に初の視覚障害職員が誕生 1975年、著作権問題が起こる 1981年、国際障害者年 → 「完全参加と平等」 1984年、「AOK・点字入力・音声出力ワープロ」が開発される 1988年、「IBMてんやく広場」がスタート 1989年、公共図書館で働く視覚障害職員の会(なごや会)が発足 1990年代以降、情報通信技術と資料のデジタル化が大きく進展 1997年、DAISYが録音図書の「国際標準」に決まる 2010年代以降、条約、法律が整備される ・著作権法【2010年/2019年施行】 ・障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)【2014年批准】 ・障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)【2016年施行】 ・盲人、視覚障害者その他の印刷物の判読に障害のある者が発行された著作物を利用する機会を促進するためのマラケシュ条約(マラケシュ条約)【2018年批准】 ・視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(読書バリアフリー法)【2019年施行】 2 現状 (1)人数 雇用総数 27人(国立国会図書館 大学図書館を含む) 県立・市立の別 都府県立 11人、市区立 13人、国立国会図書館 2人、大学図書館 1人 雇用形態 正職 25人、非常勤 2人 全盲・弱視の別 全盲 21人、弱視 6人 (2021年1月、なごや会調べ) (2)職場環境 ・スクリーンリーダー(画面読み上げソフト)、点字ディスプレー等、事務支援ソフト及び機器類 ・職場における人的支援 (3)業務内容 ・障害者サービス用資料の製作 ・障害者サービス用資料の所蔵調査・貸出 ・対面朗読サービスの調整 ・障害者サービス・事業の企画立案 ・音訳者等の養成・研修、講師業務 ・読書器やIT機器の操作の指導 3 効果と課題 (1)効果 視覚障害当事者がサービス提供者側にいることでより適切な読書支援が可能になる。 ・障害のある職員がいることで、同じ障害を持つ利用者が親近感を感じて、図書館の敷居が低くなり、利用が促進される。 (2)課題 公共図書館で働く視覚障害職員の事例がほとんど知られていないことから、自治体での採用が進まない。そして、同じ理由から図書館員をめざす視覚障害者が増えない。 4 まとめ  公共図書館の障害者サービスは、点字・録音図書の貸出、対面朗読など視覚障害者向けのサービスを基礎に発展し、さまざまな障害者へのサービスへと拡大してきました。視覚障害者は、自らの経験を生かすことで、見えない・見えにくい人のニーズや読書の方法などを把握しやすい立場にあります。そんな視覚障害者がサービスの提供者側に加わることで図書館の障害者サービスをより使いやすいものにしてきました。これまで40年以上にわたり30人を超える視覚障害者が各地の公共図書館で働き、障害者サービスの分野で大きな役割を果たしてきたのです。  読書バリアフリー法が成立し、その17条で「ピアサポート」が明記されたことで、これまで以上に障害のある図書館員の存在が重要視されることになります。この法律で「ピアサポート」が位置づけられた意味は、図書館における障害当事者の存在とその視点に立ったサービスを実施することで、読書バリアフリーの実現をめざすところにあります。 こうした理念を理解し、1館でも多くの図書館が障害者サービスに取り組み、障害者の読書環境の改善のために、最初の一歩を踏み出していただければと願っています。 <参考資料> 『見えない・見えにくい人も「読める」図書館』 公共図書館で働く視覚障害職員の会 編集 読書工房 2009年11月 公共図書館で働く視覚障害職員の会 「なごや会」 会報第50号(記念特集号) https://www.nagoyakai.com/kaiho/index.shtml パンフレット「公共図書館は視覚障害者が活躍できる職場です」 http://www.nagoyakai.com/pamphlet/index.shtml ? ◎パネルディスカッション 「いま、なぜピアサポートなのか-未来へ向けてのメッセージ」 パネリスト:杉田正幸、松井進、服部敦司、尾崎 栞(埼玉県立久喜図書館)、中山玲子(日野市立中央図書館) ■司書になって思う事 パネリスト:尾崎栞(埼玉県立久喜図書館 バリアフリー読書推進担当) 1 司書をめざしたきっかけ ・「これまでの学びや研究を活かしたい」との強い思い ・大学からの提案⇒「なごや会」に連絡 ・現役の司書から話を聞く ・「私も図書館で働きたい!」 2 司書資格取得までの道のり ・通信制の大学の司書コースに入学 ・配慮申請 ・教科書の手配 ・レポート提出 ・単位習得試験の受験 3 司書資格取得までの道のり(補足) ・スクーリング ・大学とのやり取り ・孤独との闘い(?) ・無事に所定の単位取得(約半年) 4 現在の主な仕事 ・点字図書の製作 ・対面朗読の音訳者さんの手配 ・リクエストの受付・手配・提供 ・デイジー雑誌の提供 ・レファレンスの受付・解凍 5 司書になって思う事① ・多種多様な仕事 ・人の役に立てるというやりがい ・当事者だからこそ寄り添える ・利用者との信頼関係 6 司書になって思う事② ・知識不足 ・日々の仕事で精いっぱい ・人に伝える技術の重要性 7 今後の課題 ・音訳技術に関する知識の習得 ・点訳規則の理解 ・利用者との信頼関係の構築 ・障害者サービスに関する知識の習得 8 図書館で実現させたい夢 ・立体文字の触読という新たな読書形態の提案 ■図書館資料と人との出会いのコーディネーターとして パネリスト:中山玲子(日野市立中央図書館) 1 図書館で働いて思うこと ①障害者サービス、このままの姿で進んでいいのか? ②だれのための図書館なのか? ③視覚障害者だからといってそのままピアサポートができるのか? 2 視覚障害者と図書館の仕事~ピアサポートという観点から ①これまで日野市立図書館で行ってきたピアサポートの事例から ・図書館内における地道な基盤づくりの重要性 ・「図書館は命の泉」と語ってくださった盲ろう者Aさんとの関わり ・「図書館は私の居場所」と語ってくださる全盲のBさんとの関わり ・様々なマイノリティの立場で生きるCさんとの点字を通じた文通によるサービス ・人生の終りの日を見送ったDさんへのサポート ・一人の小学生からもらったメモ用紙に書かれた絵 ②ピアサポートを行う視覚障害図書館員に必要なこと ・図書館資料に関する知識 ・障害・貧困・虐待・LGBTQ等様々な環境や立場で生活している人たちにいつも心を寄せている ・情報機器、情報入手に関する知識 ・個別対応に対する柔軟な発想 ・主体性 ・コミュニケーション力アップ ・個々の利用者に対して思い込みを外して関わる ・図書館全体を見渡し把握する力 ・関連機関とのつながり ③今感じている課題 ? 読書ツールの利用と指導Ⅰ iPhoneを使用した指導の考え方とポイント 講師:荒川明宏(株式会社ラビット代表取締役) ◎視覚障害者のiPhone利用について この資料では、視覚障害者がiPhoneを拾得する上で、ポイントとなる点を記載します。 時々、iPhoneとiPad、どちらが視覚障害者に使いやすいかという質問を受けます。この答えは、下記の質問の回答で考えて見ましょう。 テーブルの上に置いてある10円玉と、お盆の中に入っている10円玉、あなたはどちらが捜しやすいですか? また、ここでは視覚障害者といっても、特に画面を見ることができない人を想定し、説明します。 1 何ができるか ・電話 ・LINE通話、FaceTimeなどのテレビ電話 ・OCR ・デイジー再生 ・kindle ・ラジオ ・インターネット ・メール ・声での操作 ・現在位置の確認やナビ ・その他 2 習得へのハードル ・指導、サポート窓口がない。 ・指導方法が確立されていない。 ・視覚障害者には使いにくいという先入観がある。 ・独学で学習する必要がある。 3 事前準備 (1)画面回転を禁止 コントロールセンターを起動する。 「画面の向きをロック」をオン。 (2)画面のロック時間の設定 ・設定を起動。 ・画面表示と明るさを選択。 ・自動ロックを選択。 ・30秒、1分、2分、3分、4分、5分、なしから選択可能。 講習会であれば、「なし」を選択。 個人で使用するiPhoneであれば、「5分」を選択すると良い。 慣れてきたら、短くするのも良い。 (3)VoiceOverのショートカットを設定 ・設定を起動。 ・アクセシビリティを選択。 ・ショートカットを選択。 ・VoiceOverを選択。 (4)VoiceOver ・設定を起動。 ・アクセシビリティを選択。 VoiceOverをオンにする。 ・注意:VoiceOverがオンになると通常のタップでは動作せず、ダブルタップをする必要がある。 VoiceOverのオンとオフは、電源ボタンまたはホームボタンの3回押しで、切り替えることができる。 4 基本操作1 スワイプとダブルタップ (1)ホーム画面の構成 一番上にはタスクバー その後、通常のホーム画面であれば、横に4列、縦に6行アイコンが並んでいます。 更にその下にドックがあり、4個のアイコンが並んでいます。 (2)画面に触れてみよう iPhoneの画面を1本の指でゆっくりと触ってみましょう。 この時に、優しく画面に触れ、非常にゆっくりと指を動かすのがポイントです。 指が触れた部分のアイコンを読上げます。 ホーム画面には4×6のアイコンが並んでいますので、左上から右に、一番右に行ったら、一つ下に下がり、右から左に移動してみましょう。 24個のアイコンを正しく順番通りに触ることができたでしょうか? (3)スワイプ 上記の方法で、上から2番目、左から3番目のアイコンを探すことができるでしょうか? 少し大変だと思います。 そこで、「スワイプ」という操作があります。 右スワイプ:指を左から右へ箒を使って履くように指を動かします。 左スワイプ:指を右から左へ箒を使って履くように指を動かします。 右スワイプを行うと、一つずつアイコンの読み上げが右方向に移動します。 1番目で右スワイプを4回すると、2番、3番、4番、5番と順番に読上げられます。 左スワイプを行うと、逆方向、つまり右から左にアイコンが移動します。 現在9番目のアイコンにいる場合、左スワイプを2回行うと、8番目、7番目とアイコンが移動し読上げられます。 (4)ダブルタップ それでは、「天気」というアプリを起動したいと思います。 このアプリが、6番目のアイコンだったと仮定しましょう。 この場合、右スワイプ、または左スワイプを使い、「天気」まで移動します。 「天気」が見つかったら、1本指で素速く画面を2回タッチします。 これをダブルタップといいます。 これにより、「天気アプリ」が起動します。 注意:画面を見ることができないと、右スワイプ左スワイプの習得に少し時間がかかります。 その理由は、右スワイプが左上から右下に斜めに指が触っていたり、実際に画面に触れず、タッチをしている操作と同じになってしまっていることがあります。 ここは時間をかけ、確実にできるようにしましょう。 これができないと、先に進んでも操作ができません。 この右、左のスワイプ、ダブルタップが確実にできることが、とても重要です。 5 基本操作2 スプリットタップ 基本は左右のスワイプとダブルタップです。しかし、もう一つの方法「スプリットタップ」を覚える必要があります。 ホーム画面で「天気」を起動する例で説明します。 1本指をゆっくりと動かし、「天気」まで移動します。 今回は6番目にアイコンがありますので、左側のアイコンを触り、上から2番目のアイコンを探したら、そのまま右に移動すれば、すぐに「天気」があります。 そのまま指を動かさず、別な指で画面のどの部分でもよいので画面にタッチします。 これで「天気」が起動します。 1本指で画面を探し、指をそのままの位置に置いておき、別な指で画面をタップ、これがスプリットタップです。 6 文字入力 「メモアプリ」を起動し、メモが書ける状態で、文字の入力練習を行いましょう。 (1)メモアプリの起動 ・ホーム画面を表示します。 ・右または左スワイプで「メモ」に移動し、ダブルタップで起動します。 ・「メモ」が起動したら、右または左のスワイプで「新規メモ」に移動し、ダブルタップしまうs。 通常「新規メモ」は画面右下にあります。 また、初めて「メモ」を起動する場合には、「次へ」をタップし、通常のメモの画面まで移動しましょう。 右または左のスワイプで「編集中」と音声が出たら、、編集状態となっています。 (2)キーの配置 編集領域の下にはキーボードが表示されています。 今回はテンキーのかな形式で入力をしたいと思います。 キーボードの配置は 1:文字候補表示エリア 2:完了、あ、か、さ、削除 3:逆順、た、な、は、次候補 4:その他文字、ま、や、ら、確定 5:次のキーボード、音声入力、小文字・濁点・半濁点、わ、「てん」 と並んでいます。 (3)「あさ」とひらがなで書いてみよう 文字入力にはスプリットタップを使用します。 「あ」の所に指を移動します。 そのまま指は動かさず、別な指でタップします。 続いて、「さ」の所に指を移動します。 そのまま指は動かさず、別な指でタップします。 決定の所に指を移動します。 そのまま指は動かさず、そのまま別な指でタップします。 これで画面にはひらがなで「あさ」と入りました。 (4)「朝」と漢字で書いてみよう 「あ」の所に指を移動します。 そこで、スプリットタップを行います。 続いて「さ」の所に指を移動します。 同じようにスプリットタップを行います。 下にスワイプします。 漢字の候補が現れます。 目的の漢字が出たら、ダブルタップを行います。 (5)簡単な練習 ひらがなでかたな ひらがなでかさ 漢字で赤 漢字で浜 (6)「犬」と漢字で書いてみよう 「あ」の所に指を移動します。 指はそのまま動かさず、別な指で2回タップします。 これにより「い」が入ります。 続いて、「な」の所に指を移動します。 指はそのまま動かさず、別な指で3回タップします。 「ぬ」と読上げます。 下にスワイプします。 漢字の候補が現れます。 目的の漢字の所で、ダブルタップします。 (7)簡単な練習 ひらがなでうし 漢字で家 ひらがなでいす ひらがなでみかん (8)濁音、拗音、促音 「ぎ」を入力する場合、次の手順で行います。 「か」の所に指を移動します。 指はそのまま動かさず、別な指で2回タップします。 「き」が入ります。 続いて、小文字・濁点・半濁点に指を移動します。 別な指で1回タップします。 これで「ぎ」となります。 「確定」をスプリットタップします。 同じ要領で、拗音、促音も行います。 ただし、「ぱ」の場合には、「濁音・半濁音・小文」を2回タップする必要がありますので、注意して下さい。 (9)文字を消す方法 入力が誤った場合には、「削除」をスプリットタップします。 このキーは、バックスペースと同じ動作で動き、左方向に文字を削除します。 (10)文字モード かなモードで「文字」をダブルタップすると英文字入力に変わります。 英字入力モードで「数字」をダブルタップすると、数字に変わります。 数字モードで「かな」をダブルタップすると、かなモードに変わります。 7 ボイス オブ デイジー5 このアプリを利用すると、「サピエデイジーオンライン」並びに、「サピエ図書館」に直接アクセスし、本をダウンロードすることができます。 ダウンロードされた本は、本棚に保存され、ネットが繋がっていない環境で再生することができます。 本棚は複数作ることができ、お好みで本棚の整理をすることができます。 (1)トップ画面 アプリを起動すると下記の項目が表示されます。 本棚 オンラインサービス 情報 ヘルプ (2)本棚が選択されている場合 本棚が選択されていると 選択中本棚 オンラインサービス 編集 ダウンロード済み 情報 ヘルプ 本棚追加 設定 (3)オンラインサービスが選択されている場合 本棚 選択中オンラインサービス 編集 サピエデイジーオンライン サピエ図書館ホームページ 情報 ヘルプ オンラインサービス追加 設定 (4)図書をダウンロードする手順 トップ画面を表示します。 「オンラインサービス」をダブルタップして、選択します。 「サピエデイジーオンライン」をダブルタップします。 画面には「図書検索、雑誌検索、サービスメニュー、閲覧リスト定期配信の新着、お知らせ、アカウント設定」と表示されます。 この中の「図書検索」をダブルタップします。 次に「検索文字を入力」をダブルタップします。 これにより、文字入力が可能となります。 「なつめそうせき」とかなで入力をします。 「検索」をダブルタップすると、検索が実行され、検索結果が表示されます。 今回は175札ヒットしました。 今回は「草枕」をダウンロードしたいと思います。 右スワイプをして行くと、本のタイトルを読上げて行きます。 「草枕」が出るまで、右スワイプを行います。 「草枕」に移動したら、ダブルタップします。 「OK、詳細、キャンセル」の画面が表示されます。 本のあらすじなどを確認するため、「詳細」をダブルタップします。 右にスワイプすると、本の詳細情報、ダウンロードサイズが確認出来ます。 「OK」までスワイプし、ダブルタップを行います。 これにより、本のダウンロードが開始されます。 右または左のスワイプで、ダウンロードの経過を確認出来ます。 ダウンロードが終了すると 「ダウンロードした本は、ダウンロード済み本棚に保存されています」 とメッセージが表示され、戻る、今すぐ再生の二つから選択できます。 「戻る」を選択すると、検索結果に戻ります。 「「今すぐ再生」をダブルタップすると、「草枕」の本が表示されます。 (5)本を再生する手順 トップ画面を表示します。 「本棚」をダブルタップして、選択します。 「ダウンロード済み」をダブルタップします。 本棚に入っている本が閲覧できます。 右スワイプで次の本に移動していきます。 今回は「「草枕」に移動し、ダブルタップします。 この状態では、本の見出しが表示されています。 見出しの部分をダブルタップすると、その部分から、再生されます。 「開始」ボタンをダブルタップすると、初めて読む本では先頭から、途中まで読んだ本の場合には、続きから再生されます。 画面の最下段には、設定、表示、速度、前、再生・一時停止、次、移動単位、シオリボタンが表示されています。 読み上げ速度を変更する場合には、「速度」をダブルタップして、読み上げ速度の部分で、上または下にスワイプして、速度が変更可能です。 「前・次」ボタンは、「移動単位」の設定により、動作が異なります。 移動単位には、「見出し、ページ、30秒、10秒、フレーズ」から選択できます。 別な本を読んでも、再生の位置は記録されているため、特別な用途で使わない限り、シオリを付ける必要はありません。 8 その他 kindle OCR ? 読書ツールの利用と指導Ⅱ さまざまな読書スタイルの最新情報 講師:荒川明宏(株式会社ラビット代表取締役) 1 パソコンを利用したOCRソフトの活用 (1)よみとも 視覚障害者用ソフト。 スキャナに原稿ヲ置き、読み上げを行う。 点字の読み上げも可能。 (2)MyRead 上記と同じ。点字の読み取りはできない。 (3)JAWSによるOCR認識 PDFなどのデータファイルをOCR文字認識する。 かなり制度が良いように感じる。 (4)一般アプリ 2 専用機 ?よむべえ 机の上に置いて使用する。 スキャナタイプである。 (2)ブレイズET 持ち運びが簡単にできる。 カメラで作成して読上げ可能。 (3)快速よむべえ カメラを使って画像を取り込み読み上げをする。 かなり快速である。 クラウドオプションを申し込むと、AI機能により、認識が向上する。 3 スマートグラス(AI機器) (1)オーカム (2)エンジェル愛 (3)ダイナグラス (4)エンビジョングラス ? 読書ツールの利用と指導Ⅲ PTR3(DAISY再生機)の指導 講師:荒川明宏(株式会社ラビット代表取締役) 1 機器の周辺の名称 (1)左側面 イヤホン 外付けマイク ライン SDカード USB タイプA端子(USBメモリなどを指す) USB タイプB端子パソコンとの接続に使用) (2)奥側 LAN端子 AC電源 (3)→側面 CDトレイ イジェクトボタン(タイトルキーから右に指を動かすと見つけやすい) ?正面 ハンドル 2 キーの名称 (1)奥側 電源 スリープ トーン 音量 スピード (2)中央 1段目:2ボタン 2段目:4、5、6ボタン、タイトルボタン 3段目:8 (3)手前 戻し 再生・停止 送り イジェクト (4)すっきりカバーを外した場合 電話と同じ配列のボタン 数字キーの外側に 左側は移動、シオリ、録音 右側はメニュー、タイトル ボタンが配置されている。 3 タイトルの選択 タイトルキーを押した後、4または6キーを押すことにより、タイトルの選択が可能。 長押しをすると、10タイトルジャンプすることができる。 サピエの蔵書検索、radikoに入るためにはタイトル選択で項目が出た後、決定ボタンを押す宇都、更にメニューが表示去れっR。 4 CDのセット CDをセットする際は、トレイが止まるまで右方向に引き出してからセットします。 1) 操作面右手前にある[イジェクトキー]を押します。 トレイが右方向に5cmほど開きます。 2) トレイの蓋の奥側をつまみ、右方向に止まるまで引き出します。 トレイを止まるまで引き出さないと、CDをセットできませんので、ご注意ください。 3) CDを左側に傾けながら、CDの穴をトレイ中央部の丸い突起に合わせます。 4) 穴の周りを複数の指を使って、「カチッ」という音がするまで押し込んでセットします。 5) CDがセットできたら、トレイの蓋の中央付近に手を添えて、左方向に奥まで押し込みます。 5 蔵書検索 (1)タイトルキーを押す。 これにより、CD、SDなどを含めたすべてのタイトルが閲覧できる。 (2)6または4キーを押して、「蔵書検索」に移動します。 (3)8キーを押して、「蔵書検索メニュー」の中に入る。 (4)6または4キーを押して「図書検索」に移動する。 (5)8キーを押して図書検索メニューの中に入る。 これにより、蔵書の検索方法の中に入る。 (6)検索方法には、新着完成情報、人気のある本、ジャンル検索、 文字入力検索から選ぶことができる。 (7)6または4キーで検索方法を選ぶ。 今回は「文字入力検索」に移動する。 (8)8キーを押して更に検索範囲を決定する。 (9)今回はそのまま簡易検索を選ぶため、8キーを押す。 (10)検索文字入力に入る。 入力は携帯電話の方式で行う。 濁音、拗音は、通常のかなの後に選択出来る。 前に戻り1文字削除する場合には、「録音キー」を押す。 「あお」のように同じ配列の文字を連続で打つ場合には、「あ」を入力した後、送りキーを一度押し、「お」を入力する。 (11)文字入力後「#キー」を押して検索を開始する。 (12)図書の検索結果が閲覧できる。6または4キーで目的のタイトルに移動する。 (13)「#キー」を押す事により、本の中に入り、読む事が可能となる。 6 図書の再生方法 再生・停止キー→図書の再生と停止を行う。長押しすることにより 現在の再生位置の確認をすることができる。 送りキー→フレーズ単位の移動。長押しすると時間単位で早送り。 戻しキー→フレーズ単位の巻き戻し。長押しすると先頭方向に移動する。 8または2キー→移動単位の変更。 6または4キー→移動単位で設定された方法で移動する。 ページキー1回→直接ページ番号を入力し、目的のページに移動する。 ページキー2回→見出しを入力して指定の見出しに移動。数字を入れずに決定すると先頭に移動する。0を入れて決定すると最後に移動する。 ? 点訳者・音訳者等、資料製作者に対する指導・助言 (事例紹介) 司会:宮崎佳代子(千葉県立東部図書館) パネリスト:奥野真里(日本ライトハウス情報文化センター)、斉藤恵子(横浜市中央図書館) ■点訳ボランティアとの関わりを通して視覚障害者理解を広げる 奥野真里(日本ライトハウス情報文化センター) 1 点訳ボランティアをはじめるきっかけはさまざま  私が日ごろ、点訳ボランティアの方と接する上で大切にしていること、それはコミュニケーションです。  皆さんが点訳活動を始められるきっかけは様々です。しかし、その多くの方が「点字は初めて」、「視覚障害者に接したことがない」とおっしゃいます。初めて点字を学ばれる方は、まず点字の読み書きや、分かち書き・レイアウトなどの点訳技術を習得することが必須です。それらを身につけながら、知識と経験をつんでいきます。 2 制作の上で注意していること  点字図書の制作にあたって気をつけたいことは、誤字脱字。そして、想像力も必要です。  例えば、造語や同音異義語が出てきたときに、その言葉の意味が読者に伝わるかどうかを考えていただきたいのです。  また、図表・写真・イラストを点訳する際も、言葉でどのように補足をすればよいのか、本文に即した言葉選びなど、点訳者の役割は大きいと思います。 3 コミュニケーションがカギ  ただ、点訳ボランティアがすべてを背負うのではなく、上記のことを考えるときに、当事者の職員もいっしょに考えています。「このような表現でイメージできるか」、「説明をどこに挿入したらわかりやすいか」など、ご自身の中で疑問に思われることを積極的に相談していただいています。  そういった疑問点を相談するためには、ボランティアが当事者に説明をする必要があります。墨字の書籍がどう書かれているか、点訳者が考えていることを伝えなくては前絵進めません。  最初は要領を得ず戸惑われる方もおられますが、視覚障害者職員とのコミュニケーションを通して、点字図書の制作はもちろん、視覚障害者理解にもつながっていくと感じています。 ? ■資料製作者(音訳者)に対する指導・助言 斉藤恵子(横浜市中央図書館) 1 基本的事項  音訳者としての活動は正解がひとつではない地道なものです。その一方、図書館側の求めに応じて様々な資料の音訳に取り組むことで奥の深さ・面白さを実感できるやりがいのある活動でもあるはずです。 2 下読みと調査  レファレンス・ツールの活用。ポイントとなる語や意味のまとまりへの気配り。簡単な語にこそ思い込みによる誤読が潜んでいます。調べることを厭わないことが重要です。また、耳で聞いてストレスなく理解できる読書を目指した下読みが必要です。 3 音訳上の各種処理  著者の意図をできるだけくみ取る。掲載されている図表や使用されている記号類の意味を考慮した処理が必要。とくに写真や図の説明では多すぎず少なすぎないことがわかりやすさにつながります。 4 音訳の姿勢と環境  余分な「音」を入れない工夫。息遣い。マイクとの適切な距離。本に向かって読むのではなく少し先の読者を意識し、しっかりと声を届けることが大切です。 5 自己モニターと修正  思い込みによる誤読は時間をおいて客観的に聞くことで発見できます。修正の際にはその箇所が目立ち過ぎないよう、機器の操作ミスなどにも注意を払いながら行います。また、全体のトーンが揃うよう、前回の録音を聞いた上で続きを読み始めることも大切です。