「国立国会図書館資料のデジタル化におけるアクセシビリティの問題について」参議院議員 山田太郎先生にお送りしました


 公共図書館で働く視覚障害職員の会(通称「なごや会」)は、2020年9月27日に参議院議員 山田太郎先生に「国立国会図書館資料のデジタル化におけるアクセシビリティの問題について」をお送りしました。
 山田先生は国会図書館デジタル化に関して熱心に取り組まれておりますが、ウェブサイトでの活動報告を読み、なごや会として、今回の国立国会図書館資料のデジタル化につきましても「視覚障害者等」の“利用”と、それを踏まえたデジタル化資料のアクセシビリティ―の改善という視点も盛り込み、取り組んでいただきたいことを要望しました。

山田先生の国会図書館デジタル化に関するウェブサイトでの紹介



なごや会から山田先生にお送りした国立国会図書館資料のデジタル化におけるアクセシビリティの問題についての文書


 山田先生の日々の諸活動と取り組みに大いに敬意を表すものです。
 私は公共図書館で働く視覚障害職員の会(なごや会)の代表の服部敦司と申します。本会は1989年9月、全国の公共図書館で働く視覚障害者が10人に達したのを機に名古屋市で発足しました。現在では全国の公共図書館に約20名の視覚障害者が正規職員として働いています。
 ウェブサイトにて先生の国立国会図書館資料のデジタル化についての取り組みを知りました。その趣旨に大いに共感・賛同するとともに、「利用者としての視覚障害者の存在」について知っていただきたくご連絡させていただきました。
 国立国会図書館資料のデジタル化については以前から本会でも同館に対して申し入れをしてきたところです。これまで同館のデジタル化においては、主に画像データへの変換が行われ、本会からは、視覚障害者が利用する際のアクセシビリティの問題について指摘してきました。視覚障害者の多くがPCやタブレットを使用する際、画面情報を音声化するスクリーンリーダーや点字変換ソフトを用いています。画像データでは音声化も点字化もできません。つまり、大部分の視覚障害者がこれまでの同館のデジタル化においても「恩恵」の外に置かれていたということです。
 ご存知の通り、昨年6月に視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(読書バリアフリー法)が施行されました。同法では「障害の有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現に寄与することを目的とする。」とされ、その実現に際して国立国会図書館も重要な機関として位置づけられています。
 山田先生におかれましては「皆働社会」の実現「ハートフルポイント制度」の提案等の障害者施策についても重視し、熱心に取り組んでいただいているところですが、今回の国立国会図書館資料のデジタル化につきましても「視覚障害者等」の“利用”と、それを踏まえたデジタル化資料のアクセシビリティ―の改善という視点も盛り込み、取り組んでいただければと願っております。
 また、同館の資料の全文テキスト化が進み、デジタル化が実現しても、検索用のウェブサイトや閲覧用ブラウザが、スクリーンリーダーでは使えないなどの問題も生じかねません。そこで、デジタル化に際しては、早い段階から視覚障害当事者の意見も取り入れ、アクセシビリティの高いシステムにすることが重要です
。このような点も考慮いただき、取り組んでいただけましたら、幸いに存じます 。
 今後の先生のますますのご活躍とご健勝を心よりお祈りしております。

公共図書館で働く視覚障害職員の会(なごや会) 代表 服部 敦司(ハットリ ・アツシ)
なごや会URL http://www.nagoyakai.com/


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作成日:2020年9月27日、最終更新日:2020年9月30日